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黒に包まれて《連載中》
魔王
「魔王陛下に謁見してもらう」

魔王城に着くとすぐさま謁見の間へと通された。
魔王とはどのような人物なのだろうか。やはり冷酷で情のひとつも持ち合わせていない者なのだろうか。
いろんな想像が頭の中で入り乱れる。
広間の真ん中で膝をつき項垂れ、王が来るのを待つ。
すると静寂のなかコツコツと歩く音が聞こえた。

「・・・顔をあげろ」


低く威厳のある声。背筋をゾクリとさせる。声を聞いただけで固まってしまう。
指示された通り顔をあげると黒い二つの瞳に見つめられた。
まるで蛇ににらまれたように息をすることを忘れてしまいそうになる。
綺麗な黒髪にそこから生える二本の凛々しい角。
息を飲むくらいに綺麗に整った顔、髪と目同様闇をまとっているかのごとく漆黒なマント。

男の全てがこの国の王である威厳を醸し出していた―――

「シュライン・ドルトニア・・友好の証とし貴様を私の王妃としてこの国に迎えよう」

「有り難うございます魔王陛下」

王妃として迎えると言うがきっと王妃という扱いはしてもらえないだろう。
それはこの広間にいる者たちの態度からもわかる。皆侮蔑の視線を向け薄ら笑いをしている。
負けたということはこのようなことなのかと感じざるを得ない。
普通の王族ならばプライドが高いゆえこの様な仕打ち耐えられないであろう。

もしかしたら島流しにあい王族の生活とは無縁の生活をしてきたことはある程度耐久性がついており良かったのかもしれない。


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