黒に包まれて《連載中》
A(魔王side)
ふと視線を人間の手元にやると、片方の袖がビリビリに破かれていた。
「(この布は・・・)」
自分の手のなかに収まっている布と人間の服を見ると同じ素材であった。
まさかこいつがこれを―――
この私をロイスのように手中に納めようと言うのか。
それとも自分の命を握る私に、少しでも気に入られようとしたのか。
謀反を図るための演出なのだろうか。
一体こいつは何を考えているのだ――
他の人間の王族とは異なり、プライドを傷つけるようなことをしても一切弱音をはかない。
しかしそれは同時に相手の中を見れないこととなる。
この人間がわからない―――
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