黒に包まれて《連載中》
黒いモノ
意を決してそーっと扉を開ける。
黒いモヤの様なものが、魔王を中心に部屋を渦巻いている。
「(なにこれ・・・)」
この黒いモヤを空気と一緒に吸い込んだ途端、なんだか頭がクラクラするような気分になった。
クラクラしながらも魔王の眠るベッドの側まで行く。
魔王を見るとビッチョリと汗をかいており、眉間にシワを寄せ、うなされていた。
すごく顔色が悪い。
それに―――
「(こんなに歯と角長かったっけ?)」
いつもよりも歯と角が長いような気がする。
そして部屋に充満している黒いモヤが魔王の身体全体から放出されている。
「陛下大丈夫ですか?」
こちらが声をかけても何も反応がなくただうなされているだけである。
意識がないのかもしれない。
いつもだったら私を近くに寄せることは嫌がるし。
そっと魔王のおでこに手を当てる。
「あつっ・・・!?」
尋常じゃない熱を帯びていてヤケドしそうになるほどだ。
そして触った瞬間ピリッと電気のようなものも走った。
こんなに熱が上がっているなら早く下げないと。
タオルと水を持ってくなくては―――
もといた場所に戻りタオルを探す。
だが身の回りの世話を全てメイドたちにやってもらっているせいか、タオルのようなものは探しても見当たらない。
洗面台はなんとか部屋にトイレと共に設置されているから水は確保できるが。
「(仕方ない・・・)」
自分が来ている洋服の袖を思いっきり力をいれ、ビリッと破く。
それを水につけて絞る。
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