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黒に包まれて《連載中》
満月の夜
そんな怯える心を必死に押さえつけながらソファーに横たわる。
このまま眠りにつけば少しは安心できる。
自分にそう言い聞かせて眠りにつくが、やはりいつものように簡単に眠りにつくことは難しかった。


「(駄目だ・・・眠れない)」

目を開け天井を見つめる。
部屋の明かりが消えているのでぼんやりとしか天井が見えない。僅かな月の光が部屋を照らしている状態であった。

月の光に導かれるように、ソファーから立ち上がり窓辺に立つ。

「綺麗・・・」

今日は月が満月のようで、漆黒の中でキラキラと光り浮かぶ月はとても綺麗であった。

「ヴっ..あ゛..くっ!」

月を見ていると、魔王が寝ている部屋の方から呻き声が聞こえてきた。

「(うなされている・・・?)」

そっと部屋の扉に近づき、耳をたてる。

「はぁ...はぁ...ヴっ」

すごく苦しそうな呻き声が聞こえてくる。
どうしたのだろうか。

「(もしかして・・・)」

先程の青白い顔、冷や汗。
もしかして熱があるのではないだろうか。
それでうなされているのではないだろうか。
そう思うと不安な気持ちが込み上げてくる。
先程まであんなに恐怖を抱いていたのに―――

風邪で熱を出す―――
このことには嫌な思い出しかない。
近所に住んでいたアシュおじさん。
優しくていつも私たち親子を気にかけてくれた父親のような存在であったおじさんは風をこじらせ亡くなってしまった。
それから風邪と聞くとおじさんの様に死んでしまうのではないかととても心配になる。

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あきゅろす。
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