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コバナシ。
ぐらどる! (前) フレユリ♀でユーリがグラビアアイドル
現パロ女の子ユーリで、ユーリがグラビアアイドルやってる話。タイトルこんなですがけっこうシリアスです。。ちなみに、グラビアアイドルとかの業界には全く無知ですので、違うところ多々あると思いますが、お見逃しください。






きっかけは単純なことだった。
オレの両親は物心つく前に事故でなくなっていて、残された保険金とバイト代でなんとか生活している。
高校は行こうか迷ったけど、将来的なことも考えて出来るなら通ったほうが良い、という周りの勧めもあって、奨学金で通っている。

でも、正直カツカツになってきて、あーもう高校辞めて働くしかないな、なんて思っていたときだ。


「芸能事務所の者なんだけど、興味ない?」

土曜日、珍しくバイトが夕方前に終わり、駅に向かって歩いていたとき、かなり胡散臭いおっさんに話しかけられた。
普段なら無視するんだろうけど、この時のオレ、結構切羽詰まってたのかもな。
金なかったし、高校辞めなきゃいけない、ってのは思ってたよりストレスになってた。

「オレ、親ナシの奨学金暮らしなんで、高いレッスン料とか無理だから」

とりあえず、オレは吐き捨てるようにそう言った。
良くこの手の誘いは芸能人になるためのレッスン料目当て、とかは聞いたことがあったから。
なんだコイツ人の事情も知らないで、とイライラをぶつけてやりたかったんだ。

そう言っておっさんの前を通りすぎようとしたら、その手をつかまれた。

「いやいやうちちゃんとした事務所だし、レッスン料とかとらないから!ほら見てコレ、うちの事務所所属の子達!皆見たことある子ばっかでしょ?」

そう言われて、差し出されたチラシを見てみると、確かに、テレビで見慣れた顔ぶればかりだった。

「今、うち新人発掘に力入れててね〜どう?ヘタなバイトより稼げるわよ〜?」

その言葉に、オレは思わず顔をあげた。

「ほんとか?」

「まぁ、最初はそんなに出せないから、一回の撮影で何万も、とまでは言わないけど、数こなせば一月で新卒の初任給くらいは余裕よ〜」

「やる。」

この時のオレ本当にどうかしてたな。撮影、とかどんなのも深く考えずに、即答しちまって。

でも、どうしても高校には通い続けたかったから。オレはあいつらと…アイツと離れるのが凄く怖かった。高校辞めたら、なかなか会えなくなって、アイツがオレのこと忘れちゃうんじゃないかって。


オレの即答に、おっさんは一瞬ちょっとびっくりしたような顔をしたが、すぐに向き直って、じゃあ決定ね、と言ってオレを事務所に連れていった。

事務所の中は、水着とか、露出度の高い服とか、コスプレのような格好をした女の子のポスターで埋め尽くされていた。

…良くよく思い起こせば、あのチラシに載ってた女の子たちは皆グラビア出身のタレントだったな。
撮影ってつまりグラビアか。

ちょっと早まったかな、と思わないでもなかったが、もう後にはひけない。
その後すぐに書類上だけオレの後見人になってる親戚に印鑑をもらって(全くオレに無関心で、高校行く金のため、と言ったらあっさり印を押した)、オレの仕事がスタートした。




多分、オレの仕事は好調なんだと思う。あまり始めてから時間はたってないが、少年雑誌の巻頭を飾るくらいにはなっていた。おっさんいわく、身体が細いわりに胸がデカイのが良いらしいが。

事務所も意外と学業との両立には理解があって、遅刻、早退もそんなになく、この調子なら出席日数も問題なく、あと一年で高校も無事卒業だ。

ただ、学校での周りのオレを見る目は変わってしまったけど。
廊下を歩けば、ひそひそと聞こえる噂話。あんな格好の写真、よく恥ずかしくないな、とか、ユーリ・ローウェルは凄い遊んでて、男はとっかえひっかえ、だとか。

でもそんなの、友達とアイツさえ変わらなければ、全然我慢できる、そう思ってた。


「ユーリ!雑誌みました!この水着、可愛くてとっても似合ってます!」
そう言いながら話しかけてきたのはクラスの友人のエステル。オレの数少ない、心を許せる友達だ。

「サンキュ。でもこんな水着着るのは撮影だけで十分だな。」

「そんな勿体無いです!今度ぜひプールに行きましょう!リタと…フレンも!」

ねっ、とエステルがフレンの方を振り返った。
フレンは、幼稚園から高校まで一緒に過ごしてきた幼馴染みで、親友だ。
…でも最近は親友って思ってるのはオレだけかも、なんて自信が無くなってきている。

オレがグラビアの仕事を始めて以来、フレンはオレを避けてる。

今まで登下校も一緒で、休みの日だって良く遊びに誘ってくれてたのに、「生徒会の仕事があるから」などと言って朝はめちゃくちゃ早く登校してしまうし、放課後もかなり遅くまで残ってるみたいだ。
土日は、オレも仕事があるから仕方ないとこはあるんだけど。
だから、エステルの誘いにフレンがなんて答えるかなんて、予想がついてた。

「すみません。生徒会で次の行事の準備があって…」

ほらな。

その言葉を聞いて、オレは涙が目に溜まるのを感じた。
オレ何やってるんだろう。フレンの側に居たくてグラビアなんて始めたのに。これじゃ逆に遠ざかってるじゃねえか。

そう思うともう抑えきれなくて、オレは立ち上がって何も言わず教室から飛び出した。

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