[携帯モード] [URL送信]

コバナシ。
幼なじみが初デートしたようです (↑の続き)
※彼女×ユーリ的な要素があります。










ユーリに彼女が出来て数日。フレンは落ち着かない日々を送っていた。


(邪魔する、というのはどうかしてるな、そう、僕はただ親友としてユーリが真っ当な人生を送るのための手伝いをするだけであって…)

忙しいバイトも終わり、また親友の彼女できた宣言について考える余裕が出来てしまったをフレンは、改めて心の常識辞書を参照し、自分に都合良くユーリに対する感情を整理していた。
今日の美しい月夜も手伝ってか、フレンの心は数日前より穏やかであり、
(そうだな、強制的に引き離すのではなく、ユーリには優しく男女交際とはどうあるべきか教示し、例の『オネーサン』はユーリに相応しくないと理解してもらった上で別れてもらおう。)

…なんていうオネーサンにしてみたら大分失礼で、彼の幼なじみからしたらかなり余計なお世話な事を考えていた。

そうやって考えをめぐらせながら、下町の細い道を歩き、あと一つ角を曲がれば住み慣れた我が家…というところで、覚えのある影が目に入った。月光に照らされ、暗闇のなかでさえ、光の輪を作りだす黒髪、そして細長く、真っ直ぐに伸びた背筋。ユーリだ。
そう思い、声をかけようとした瞬間、彼の隣から人影が見えた。

「今日は楽しかったわ」
ユーリの隣の影がそう言った。間違いない。『オネーサン』だ。

「オレも楽しかったぜ。美味いカクテルも飲めたし」

(ユーリぃぃぃ!未成年だろ君は!しかもそんな二人でいるときに簡単にアルコールを飲んだりなんかしたら駄目じゃないか…!もし危ない所に連れ去られでもしたら…!)

そんな事を思いつつ、その場は大人しく二人の背中を見守り、女性がようやく別の方向へ向かったのを確認し、深呼吸した後、フレンはユーリに声をかけた。

「ユーリ、デートの帰りかい?」

「おわっ。びっくりさせるなよフレン…そーだよ。フレンもバイト帰りか?」

「うん、ちょうどさっき終わったとこだよ。で、どうだった、デートは?」

「んーぼちぼち?やっぱ年上相手だとリードすんの難しいよなー」

そうか。相手に主導権を握られるのが嫌いなユーリだ。年上相手なら逆に慎重になって関係もあまり進まないかもしれない…
「なんか舌いれられてテキトーにこっちも反応返したけど、あれで良かったのかな、とか考えちまうよなー」
…って舌だぁぁぁ!?

「ゆ、ユーリ!ちょっと早すぎないか!?」(許せないあの女僕のユーリをキズモノに…!)

「ははっ何言ってんだよフレン〜そんな大したことじゃねぇだろ〜エッチしちゃったわけじゃねーんだからさ〜」

「エッ…って君は何言ってるんだ破廉恥な!…ユーリ、もしかして酔ってる?」

いつになく饒舌で陽気なユーリ、良く考えれば普段のユーリは自分と誰かのアレコレを簡単に口にするような性格ではない。あぁこれは完璧に酔っているな、と思いフレンは呆れつつふらつくユーリに肩を貸した。

「よっ…と。ユーリ、君、彼女といるときもこんな感じだったのかい?こんなんじゃ女性に失望されてしまうよ?僕としては願ったり叶ったりだけど。」
最後の一言は小声の早口でまくしたて、フレンはユーリに問いかけた。

「ん〜?オネーサンの前ではこんなんじゃねーよ。フレンの顔見て気ぃ抜けただけだっつの…」

その一言にフレンは動揺し、同時ににやつきながらも、言葉を返した。

「でっでも!キスまでは済ませたんだろ?付き合って数日で、なんてちょっと紳士じゃないんじゃないか!?」

「なにカタイこと言ってんだよ〜今どきガキでもするだろ〜あ〜フレンしたことないから羨ましいんじゃねぇの〜?」

そう言いながら、ユーリはケラケラと笑いながら肩にまわした手でフレンの髪の毛を引っ張ってからかった。
それに少なからずプライドを傷つけられたフレンは一言言ってやろうと引っ張られるままにユーリの顔を覗きこもうとした。
「ユーリ言っていいことと悪いことが!…んっ」

その瞬間、ユーリの唇がフレンの唇に押し当てられた。
あっけにとられ、放心したフレンを見てユーリはまた可笑しくなったのか、
「フレンの初めて奪っちゃったな〜オレ〜」

などとまた笑いだした。その笑い声に我にかえったフレンの、頭の中で何かが壊れる音がした。

「ユーリ。」
「ん、なんだよー別にいーだろーチューくらい」
「…そうだね。これくらい大したことないよね」
酔ったユーリは、いつもより低いフレンの声にも気付かず、のんきに口を開いた。
「そうそう大したことねーって…んー!」
その口に、フレンは思いっきり自分の舌をねじ込んだ。
「んっ…ふぁっ…んんー!」

息継ぎもままならないユーリを翻弄するのは何故だかとても気分が良く、フレンは夢中になってユーリの咥内を荒らした。
「ん、ユー…リっふっ…」
「んぅ、ふれ…っふれんっ…ふぁっ」

ユーリがフレンの名前を呼んだところで、フレンは漸く我にかえり、ユーリの唇を解放した。

くったりと力なくフレンにもたれかかるユーリを見て、フレンはサーッと血の気が引くのを感じた。

(今、僕は何を……)

とりあえずユーリに謝罪しようと彼に向き合うと、ユーリの口元から寝息が聞こえた。
良かった、この分ならさっきのキスも夢だと思ってくれるだろう、とフレンは安堵しつつ、ユーリをおぶって、帰路についた。

ただ、モヤモヤとした感情は消えず、頭上にある月を見ながら懺悔した。

(あぁ…!僕は親友になんてことをしてしまったんだ…!ユーリがあんな無邪気な顔で可愛らしく微笑みかけてくるからつい了解も得ずに…!というか衝動的に親友にキスをしてしまうなんて、僕はおかしいのか!?いや、僕は至ってノーマルのはず…!)

背中に温かいユーリの体温を感じつつ、フレンはこの感情の答えを探すべく心の辞書をまたあさりだしたのだった。







*****
フレンにどうやって自覚させようか。。。

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!