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コバナシ。
さつえい!(ぐらどる番外、フレユリ♀)


「あら…」

「ん?何?」

今日は雑誌の撮影の日で、ユーリは楽屋でメイクの真っ最中だった。

ユーリのヘアメイク担当のジュディスに化粧をしてもらった後、次は髪ね、と肩にかかる髪をかきあげたとき、彼女の手が止まった。

「ふふ、キスマーク」

ちょん、と首筋を人差し指でつつかれて、ユーリは慌ててジュディスの指を払い除け、手のひらでそれを隠した。

やばい、これは多分(いや絶対に)フレンとこの間アレコレした最中に吸い付かれた痕だ。

「み、見るな…!」

「あら…いいじゃない。そんなに恥ずかしいものではないわ」

「んなワケねーだろ!」

真っ赤になって怒鳴るユーリに構わず、ジュディスは話を続けた。

「まぁ…でもこのまま撮影はちょっとマズイかもしれないわね…コンシーラーとファンデーションで隠しましょうか…あ、でも…」

ジュディスはユーリの肌色に合う化粧品をメイクボックスから取りだそうとしたが、途中で何か思いついたように動きを止めた。

「逆の発想もアリ、ね」

そう言ってジュディスはニコ、と男性なら誰もが見惚れる笑顔をユーリに向けたが、ユーリは悪い予感しかしなかった。



………


ユーリが撮影スタジオの扉を開けると、もう後は少し機材を調整しながらユーリを待つだけの状態で、落ち着いた雰囲気になっていた。

「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」

ぺこり、とおじぎをして、いつもより高い声を出し、とびきりの笑顔でスタッフ一人一人に挨拶をしていく。

実際はこんなキャラではないが、この世界でしばらく食べていくためにとマネージャーのレイヴンから教わった手法である。

ちなみに、ファンの握手会でも同じように可愛い清純キャラを突き通している。

「お、ユーリちゃん今日もよろしくねー」

「はい!頑張ります(o~-')♪」
(あーすげーだりー…帰りてぇ…)

「お、ユーリちゃん!この前の写真集好評らしいねーオレ的に最後の方のバニーちゃんみたいのが…」

「やだぁ〜恥ずかしいです(*^^*)」
(コスプレ好きかよキモッ)

本来のユーリの性格を知っているのはこの場ではレイヴンとジュディスのみで、毎回ユーリが挨拶回りをしている間は生暖かい目で見守っているのだが…

「…うーん…あのユーリちゃん見てるとおっさんちょっと間違えたなーとか思うわ」

「あら?何が?」

「グラビアじゃなくて女優にしとくべきだったか、ってね〜」

「ふふ…ずっと演技してたんじゃユーリが疲れちゃうわ」

「…なに?オレのこと話してんの?」

一通り挨拶を終えたユーリが二人の元に戻ると、怪訝な顔をしてそう言った。

「何でもないわよ〜それよりユーリちゃん、早く上着脱いで撮影の準備しないと!」

レイヴンはユーリを促したが、ユーリは少し俯き気味になって頬を赤くした。

「いや…でも…ジュディが…」

「ふふ、そうね。カメラマンさんを呼んで事情を話さなくちゃね」

そう言ってジュディスはカメラマンを呼びつけた。

「ごめんなさい、ユーリのメイクなのだけど、彼女の首筋のところに私、ヘアアイロンを誤って当ててしまって…」

「えっ…そりゃ熱かったでしょ、ユーリちゃん大丈夫?」

ユーリを心配するカメラマンに彼女は大丈夫ですぅ、すぐに冷やしましたから♪と言ってみせた。

「それで、最初は赤みを消そうかと思ったのだけれど…この方がセクシーかと思って」

どうかしら?とジュディスはユーリの着ていた大きめのパーカーを脱がせ、彼女の首筋をカメラマンへ向けた。

「…ちょ、キスマークみたいじゃない?」

「ええ、清純派のユーリにキスマーク…男性のいやらしい妄想を掻き立てると思いません?」

にこ、と笑ってみせるジュディスに、カメラマンはユーリの首筋のキスマークを凝視しながら黙りこんだ。

それを見たユーリは今更ながらにキスマークを見せていることが恥ずかしくなってしまい、顔を赤くしてカメラマンの視線から逃げるように少しみじろいだ。

(も、もしかしてバレたんじゃ…)

あまりに長い沈黙にユーリは不安になったが、カメラマンは若干興奮したようにこう言った。


「……うん、イイ!すごいイイよ…!」

「ふふ、そうでしょう?さ、早く撮影しましょう」

鼻息を荒くしたカメラマンにユーリは少し引いたが、まぁジュディスの予定していた通りに事が進み安堵した。


「あぁ〜!こうなったら予定より少し衣装増やそう!首元が広くあいたやつ…あ、あのミニのピンクのベアワンピと…あれ、ユーリちゃん下着まではオッケーだっけ…?あ、シーツとかにくるまったりして撮ったらエロくなるよね!」


カメラマンが騒ぎだしたお陰で、さっきまでの落ち着いた雰囲気は一変し、スタジオはバタバタとし出した。



(…てか、食い付き良すぎでコワイんだけど…オレ、今度はどんだけエロい格好させられるワケ…?)



結局、レイヴンの指示のもと事務所からNGが出るギリギリまでの衣装を着せられ、ユーリはフレンがつけたキスマークを大勢に晒すこととなった。



………

出来上がったユーリのグラビアが載る雑誌の見本刷りを、ユーリと一緒に彼女の部屋で見ていたフレンは、その写真の一部分に釘付けになった。


「…ユーリ…これって…」

「ん?それ?フレンがつけたやつ…だよな?」

ほら、まだここに薄くだけど残ってる、とユーリは髪をかきあげて首筋を見せた。

「〜っ…そうじゃなくて!これ、こんなふうに見せつけるような写真、まずいんじゃないか?」

ユーリの白いうなじに薄く残る、自分の独占欲のしるしに真っ赤になりながらフレンは言った。

「?でもそれが男のモーソーをかきたててイイ、って言われたぞ?しかもカメラマンとかはメイクだって思ってたし…彼氏いるってバレてないし」

「〜っでも、なんか僕の方が恥ずかしいよ…」

いくらメイクと思われていようが、自分とユーリのいやらしいアレコレの名残を世間に晒しているようで、フレンはいたたまれない気分になった。

「なんでフレンが恥ずかしがるんだよ…」

「いや…もう反省するよ…自分の軽率な行動に…キスマーク、つけないように気を付ける…」

「…なんで」

ユーリは何故か怒ったようにジトリ、とフレンを見た。

「いや…だって色々…まずいだろう?」

「…確かに最初は恥ずかしかったけど…キスマークって、オレはフレンのもの、って印なんだろ?」

ジュディが言ってた、と恥ずかしそうに呟くユーリに、誰だろうその人…とフレンは思ったが、とりあえずまたしてもユーリに余計な知識を与えた人物と考えて良さそうだ(その人の言う事は正しくはあるが)。

「だから…オレ、嬉しかったのに…」


「〜っ…!」

毎回ユーリの発言にはドギマギさせられるが、この発言にユーリの自分への思いを感じて、思わず顔がにやけそうになる。

「そ、それにな!こんくらいの赤みならコンシーラーとか使えば消せるし!だ、だから…」



もっと、しるし、つけていいぞ?…オレは…フレンのものだから。


真っ赤になりながら、少し潤んだ瞳でユーリはそう呟いた。


そんなユーリにフレンはいつか自分の理性は焼ききれて無くなってしまうんじゃないか…と不安になりながらも、結局また彼女の首元に唇を寄せた。



end.

*****
久しぶりのグラドルユーリちゃんでした!
フレユリ結婚式に一緒に行って下さったモナコさんに捧げます…♪
こんなんでお返しになるか微妙ですが…お菓子沢山有り難うございました…!

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あきゅろす。
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