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コバナシ。
幼なじみに彼女ができました。 (ユーリに初カノ。本編前)


ユーリに彼女が出来た。
この事実は、少なからず下町を動揺させた。とはいえ、彼ももう成人になるまでそう長くない、というような年頃であるし、一般的に見ればそう驚くような事ではない。

だが彼には常にくっついて離れない幼なじみがいたので、彼女が出来そうな空気は微塵も無かったのだ。




「え…?彼女が出来た?」

下町でのバイトも終わり、いつも通り二人で食事中、フレンは珍しくユーリに向かって間の抜けたような声をあげた。

「おー出来た出来た。…んだよ、お前もそんなに意外か?」

「意外っていうか…いや、いつ!どこで!相手は!?」

「今日、バイトから帰る途中コクられて、相手はバイト先の客の年上のオネーサン」

それを聞いてフレンは放心した。年上好きとは知っていたが、ユーリはそんな告白されてホイホイとOKを出すような人種ではないと思っていたのに。

「ゆ、ユーリは…」

「ん?」

「ユーリは、その人のことを、愛しているのか…?」

それを聞いてユーリは盛大に咳き込んだ。

「あっ愛だぁ!?そんな大層なもんじゃねーって!ただ単に前から美人だなーって思って気にかけてたオネーサンがオレのこと気に入ってくれて、上手くコクられた、ってだけだっての…」

「気にかけてはいたんだ…」

フレンは更に絶望した。ユーリのことだから、年上の色気に騙されてOKしたものかと思ったが、滅多に異性を気にかけたりしないユーリが『気にかけた』と言うくらいだ。そのオネーサンとやらに対する好意は言うほど薄っぺらいものでは無いだろう。
幼なじみとして、そして親友として、ユーリの恋愛成就を祝福せねばなるまい。
と友人に対しての一般的な感情を心にある一般常識の辞書でまず引いてみて(※フレンはユーリに対してだけは何故か常識外れの行動をとってしまったり過干渉になってしまうことが多いので、このようなフレン的に不測の事態があった場合、常に心の辞書を参照するようにしている)そう思った………のは一瞬で。

(駄目だ…!!大体、あのバイト先の常連客で品の良い女性なんかほとんどいない!ユーリの伴侶となる人は純粋無垢で白い花が似合う、趣味はお菓子作り、手も恥ずかしくて握れない!…ような女の子でないと…ユーリが汚れる…!)

などと考えていた。放心したフレンにユーリは「おーいフレン?」と手をヒラヒラさせながら呼び掛けたが、呼びかけには答えることは無く、

(邪魔してやる…!ユーリに相応しい、 白い花の似合う女の子が現れるまで、ユーリの隣は僕の席だ…!!親友を毒蛾から守らなくては…!)

フレンの脳内は、ユーリを毒蛾(?)から守るための計画で忙しかった。





*****
無自覚にユーリ大好きなフレン。
自分のユーリに対する気持ちが一般的な常識とはずれてると自覚しつつも幼なじみで親友と思ってます。

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