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セ/コ/ム、してますか。(やまごく)


「ごっくでら」


うぜぇ。

朝に弱い体質ながらもマフィアという職業柄、たとえ寝起きでも気を抜いたりしていないのに。
しっかりとしめたはずの鍵なんてなかったかのように、山本が室内に、それもベッドの脇に立っている。
人の気配に気づかなかったこと以上に、こいつを近づけてしまったことが悔しい。


「てめぇ鍵はどうした」

まさか壊したんじゃないだろうな。この部屋の鍵は一月前にピッキングできない鍵に替えたばかりだ。前の鍵は結構簡単にピッキングができる鍵で、山本どころか骸までよく侵入してきやがった。
骸の場合、山本のような精神的被害はないが、冷蔵庫が空になっていることが多くて困る。花粉症用の目薬までもってかれた時には殴りたいと思うより心配になったが。


「ん?拾った」


嘘をつくな。鍵はチェーンにつないで玄関においてある。スペアは鍵屋から貰った時に引き出しの中につっこんでから出したことはない。


「嘘じゃないぜ、そこの引き出しん中落ちてたんだ」


「それは落ちてるっていわねぇんだよ。返せ、今すぐ鍵置いてでていけ」

そして二度とくるな。

なんのために何万もかけて鍵を交換したと思ってるんだこいつは。その合鍵だって一本五千円もするんだ。あのくそじじぃ足元みてぼったくりやがって。そのお陰で骸がこなくても最近冷蔵庫が空に近いんだ。
あぁ、そういえば。


「寿司は置いてけよ」


「ちょ、俺は出て行かせるのに寿司はいるのかよ」


「当たり前だろ」


寿司が特別好きなわけでもないが、今の財布事情では贅沢も言ってられない。




「…おぃ、まて」


わがままだなぁ、なんて笑いながら部屋を去ろうとした山本に違和感を感じ、思わず呼び止める。こいつがこんなに素直に帰るわけがない。


「なんだよ獄寺、やっぱ俺にいてほしい?」

「黙れ野球バカ、おまえ、ちょっとポケットん中のもん出してみろ」


なんだか嫌な予感がする。妙に、ふくれてるのは、気のせいか?


「なんだよ、ただのハンカチだぜ」

「全部出せ」


チラッと布を見せてきたが、なんだか見覚えのある柄な気がする。しかもただのハンカチにしてはありえない膨れ方だ。


「えぇぇ、獄寺わかってないな〜時代はチラリズムなんだぜ」

「とっとと出せ!!」


反動をつけて立ち上がり、あほなことを言う山本に掴みかかる。獄寺のえっち、なんてほざきながら、山本もとられまいと必死だ。
もう単なるハンカチなわけがない!

「ぃっ…!」

悔しいが力じゃ勝てないので全体重をかけて山本の足のを踏みつける。相当痛かったみたいで俺の手を離して飛び跳ねてやがる。ざまーみろ、素直に渡さないからだ。


ふん、と鼻で笑ってやってから、手中におさめた布を見る。やっぱりどこかで見覚えのある柄だ。


…まて、ハンカチにゴムなんかあるもんか。いや、ゴムつきのハンカチがない、とはいいきれないが、すくなくとも俺は見たことがない。


しかも、この柄、昨日みた気がする。寝る直前に思い出して慌てて取り込んだ、俺の、パン…


「山本てめぇええ!気持ち悪いんだよ変態が!人のパンツ、なに持ち帰ろうとしてんだ!!」


「なんだよ獄寺、パンツの一枚や二枚でそんな怒るなよ」


ケチだな〜なんていつも通りに言われてしまい、一瞬自分が間違えてるのかと錯覚した。間違えてる、わけがない。パンツを盗まれて怒らないやつがどこにいる!


「俺、獄寺になら盗まれていいよ。あ、交換にする?そしたら今すぐダッシュで取りにかえ…」


「黙れ!!おまえのパンツなんて何の役にもたたねぇよ!」


雑巾にすらできねぇ!

あぁ、もうなんなんだこいつ。大体人のパンツ持ってって何するつもりなんだ


「やだなぁ獄寺、決まってんじゃん、オ」

「言うな!いいからもう帰れ!」


「なんだよ、これでも気使って、洗い終えたほうから選んだんだぜ」


気を使わなかったら洗濯機の中漁るつもりだったのかこの変態が!


こ の 変 態 が !





…あぁ、もう朝から疲れた。もう一眠りするしかねぇ。脱力したままベッドに戻り、布団を頭までかぶる。鍵は次会ったときにぶん殴ってでも取り返そう。次は自動通報装置でもつけるべきか?山本ごときのせいで、俺の生活は極貧だ。




「獄寺、パンツ握ったまま寝るのはどうかと思うぜ」



誰のせいだと思ってやがる!





十代目、やっぱりこいつをファミリーにいれるの、間違いだと思います。

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あきゅろす。
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