9.世界中を味方につけて(日英)
あの時、たくさんの人に励まされて。私は彼に告白したのだ。
大丈夫だよと。絶対成功するからと。たくさんの―
「日本?何してるんだ?」
思考を途切らして、私は正面を向く。そこには心配したイギリスさんの顔があった。
「ぼうっとしてたぞ」
「いえ…昔のことを思い出していました」
「昔?」
お前の昔はかなり前だからな、とイギリスさんは困った顔で言う。そうでしょうかと返すと、眉の下がったまま頷かれた。
「何を思い出したんだ?」
「…貴方に告白した時のことを」
「ぶっ」
「…汚いですよ」
吹いたイギリスさんはパクパクと口を開閉させ、そのまま机に突っ伏した。半開きの口から呪詛が聞こえる。
「なんで今思い出した…」
「…もう恋人になって長いですから。少し…さぷらいずが欲しいでしょう?」
「surprasuな。何で驚かそうって?」
こちらを向いたイギリスさんは訝しげにしている。私は少し考えて…口を開く。
「イギリスさん。これからもよろしくお願いいたします」
「…ああ、よろしく頼む」
「愛していますよ」
「ばっ!ばかぁ!」
頬を染めて再び突っ伏したイギリスさんに笑いが溢れ、クスクスと笑ってしまった。
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