2.甘酸っぱい嘘つき(いー友)
「今日は帰らないといけないから」
僕の一言で目に見えて落胆するのがわかる。友は柔らかな髪を揺らして、落胆しながらも笑顔で手を振った。
「いーちゃんバイバイ」
「…」
「いーちゃん?」
「…引き留めないのか?いつもみたいに」
いつもみたいに引き留めてくれればいいのに。
友は困ったような顔で首を振る。
「いーちゃん困らせるのは」
「…わがまま、言ってみろ」
「…」
一瞬、泣きそうな顔をして、友は僕の服の裾を掴む。小さな手で掴んだ。
「…今日、泊まっていって」
「…いいぞ」
「はえ?」
まさかわがままが通ると思わず、友はきょとんとこちらを見る。
困惑、そのあとにまた泣きそうになって、最終的に笑った。
「ねぇいーちゃん」
「なんだ、友」
「ほんとに泊まって大丈夫なの?」
「あーあれ嘘だから」
「ふえっ?」
「友に引き留めて欲しかった…だけ」
戯言だけど。
付け加えた僕の言葉を無視して友がべったりと張り付いてくる。しまった、安易に同じベッドに転がるんじゃなかった。
「いーちゃんいーちゃん」
「ウザイ張り付くな」
「いーちゃん…うふふ」
本当に僕様ちゃんのこと好きだねぇ。
友の言葉は無視して、その小さな頭を撫でた。
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