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世界で1番優しいキス(仏米)

「ねぇ、フランス〜」

「なぁに?」

「暇で暇で死にそうなんだぞ〜。どうにかしてくれ」

「他力本願過ぎない?
…そうだねぇ、何をすればお前は満足するのかねぇ」

広いベッド、その上でゴロゴロ転がるアメリカが意味のない擬音や唸りを上げる。暇で仕方がない、と主張したいようだ。
一方フランスは手元の雑誌から視線を上げて駄々を捏ねる恋人を見やる。ベッドの端ギリギリまで転がってまた元に戻る恋人の姿に半眼になり、そのまま落ちればいいのにと溜め息を吐く。
美しくない行為は基本的に嫌うフランスから見ればアメリカの駄々捏ねはあまり歓迎されたものではない。ましてやベッドの上をゴロゴロと、幼い子供のような行動に盛大に溜め息を吐いて見せた。
その溜め息に反応したアメリカは、ぷっくりと頬を膨らましてフランスを睨んだ。

「…なんだい」

「アメリカ、こっちおいで」

「お説教ならいらないぞ」

「いいから」

手招くフランスに渋々起き上がって、アメリカはよたよたとフランスの前に立つ。
じっくりと上から下まで眺めたフランスは頷いて、自身の隣を示す。座れ、と言われていると気が付いたアメリカは素直に座り、再度なんだい、と訊ねた。

「アメリカ、どれくらい暇?」

「どれくらい、って…だから死にそうなくらい…」

「じゃあ付き合えるね」

「は?…ちょ待って待って待って待って待って!!」

グイッと肩を掴まれ、そのままソファに倒された。びっくりするのも束の間、リボンタイを弛めたフランスに目を剥いて、必死に逃げ出そうとする。

「はいはい逃げないで」

「Noooo!!!ゴーカンで訴えるぞ!?」

「マダナニモシテナイヨー」

「今からスルんじゃないのかい!?」

バタバタと暴れる恋人にニヤニヤと口元を弛めたフランスは、露になった白い首へと唇を落とす。それに小さく唸ったアメリカは力任せに体を捻って相手の首に噛み付いた。

「ん、つぅ」

「…あー、歯形付いた」

「付けたのお前な。痛いんだけど」

「フランスが強引なのが悪いんだぞ」

フランスはぷりぷりと怒るアメリカの鼻先に歯を立てる。そのまま痛いよ、と文句を言う唇を塞ぐ。
リップ音を立てて何度も啄むようにキスを繰り返す。息切れすらしない優しいキスを繰り返して、薄く目を開けば蕩けた顔を見つけた。
揺らぐ青色がフランスを映す。

「…もっと」

「ん、了解」

乞われるまま与えて、結局アメリカが危惧した通りになるのはすぐあと。

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