食べ過ぎ注意(3333hit、立波) ひょい、と。彼の細い指がクッキーを摘まむ。それはそのままゆっくりと薄桃色の唇へと運ばれて。 口の中へと消えた。 さくさくと聞こえる口の中、飲み込む前に次のクッキーへ指が伸びていく。彼が摘まもうとしたその焼き菓子を横から掻っさらい。 「…ん、あれ?」 コツンと爪先が皿に当たって、ポーランドが雑誌から目を上げる。視線は皿に、それから指を舐める俺へと向かって。 不機嫌そうに眉が寄り、唇が尖る。 「リト!なんで盗ったん!」 「盗ってないよ。 ところでこれ美味しいね」 「イタリアのお手製なんよ。んで、話逸らすのやめろし!」 「バレたか」 肩を竦めてクッキーを摘まむ。膨れるポーランドに差し出すと彼は口を開けた。そのまま俺の指ごと口を閉じる。 ぬるり、舌が指を舐めてクッキーを奪い取る。引き抜けば透明な糸を引いて、ふつりと途切れた。 「…ねえ、ポーランド。もしかしてわざと?」 「わざと」 「昼間から何考えてるの…」 「何考えてると思うん?」 ポーランドの赤い舌が唇を舐める。 手に持つ雑誌を放って、ゆっくりとこちらに寄ってくる。膝に乗って、首に腕が絡まる。それからパックリと口が開いて、噛み付くようなキスをくれた。 「ん…」 ちろり、唇を舐められて素直に開けば、すかさず揺らめく彼の舌先が俺の舌へと絡まった。 吸われてじんと甘い痺れが広がって、触発されるように俺も吸い返す。ぴちゃぴちゃと水音が響いてもっととポーランドの頭を抱えた。 彼の腕がさらに強く首へと絡まる。 瞳を開けばポーランドの潤んだ瞳が弧を描いて、僅かに離れた唇から吐息の言葉が紡がれた。 「すき」 「…俺も」 零れた言葉は彼に伝わっただろうか。 押し倒した体は薄桃色で、誘うように細い指が頬を滑る。それを柔く食んで、口付けを落とす。 彼を何度食べても食べ足りない。 「…食べ過ぎじゃね?」 「足りる訳ないでしょ」 お前は自分がどれだけ美味しいかわかってない。毒のようにじくじくと浸透して、なおかつ中毒性がある。 それじゃあいくら食べても足らない訳だ。 「…っあ、んっ」 揺らめく体に口付けを落とす度、甘い声が上がる。 ちらりと見えた白い喉、それに強く噛み付いた。 お菓子で10題 「仕出し妙薬」様より [戻る] |