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眠れる君に抱擁を(いー友)

ふと、静かな夜に目が覚めた。隣を見ればすやすやと友が体を丸めて眠っている。長い青い髪はシーツに散っていて、小さく細い体を丸めて、まるで何かから体を守っているよう。
そう言えば。
友はこの世界に、時代に生まれてから世界から自分を守るために色々と枷を付けていることから考えると、やっぱりこいつは頭が良いんだなぁ、と思う。
僕だったらわざわざ自分を守るために自分を『弱く』したりしないだろう。こんなに生きづらい体に、性格にしない。
枷を付けて弱く、守られる存在にしよう、なんて思い付かないし。
顔にかかる髪を退けてやる。サラサラの髪はスルリと指の間から零れ落ちた。暗闇になれた僕の目は友の本来の髪色より濃くなっている髪を映す。本来は透き通るような薄く青い髪は、今は濃いブルーになっていた。
近々風呂に叩き込まなければ。

「…ん〜」

寝言。
口の中で呟かれた言葉は聞き取れなかったが、何やら楽しい夢でも見ているのか。
口角が上がっている。
それからぴったりと閉じられた瞳。
そこには髪と同じ輝く青が収められているはず。そして大体いつも彼女の瞳はたくさんの文字列、あと時折僕を映している。
それから友の肌は病的に白い。日の光を浴びないからだろうが、髪が青いことも手伝っていつだって顔色が悪い。風呂上がりの顔が赤くて恐ろしいくらいだ。
何も白色好きをここまで発揮しなくても良いと思う。
白い色が好きな友は服も白が多い。今着ている寝間着も上下白だ。
じっくりと頭の先から爪先まで見て。
眠っている友は、なんだか死体のようだった。

「…」

友は一度僕が殺した。
だから余計そう見えるのかも知れない。
だからこそ。
僅かに上下する背中を見て、ああ、生きているんだなぁ、と思う。
僕も一度死んだから。

「…まあ」

戯言だけど。
友を起こさないように気を付けて抱き締める。小さな頭を撫でて、そこにいることを確認して。
生きていることを確認して。
勝手に安心して眠りに着く。




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