5.片思い卒業記念(いー友)
僕達は、いつ両思いになったか覚えていない。哀川さんのお陰でこうなった気がする。
「友」
「なに、いーちゃん」
「僕達はお互いを好きになった訳だけど、何か記念でもやる?」
そう。世界中に存在するカップルのように、何か記念をするのだろうか。
僕達には似合わない、ものだけど。
「うーん」
友はしばらく考えて、顔を上げる。
青い瞳が僕を捉える。
「僕様ちゃん、いーちゃんにキスしてもらいたいかな」
ダメ?
小首を傾げる友に、ぎこちなく頷いて見せる。キス、か。
小さな頭を抱えて、顔を近付ける。友はじっとこちらを見ていて、それが目を閉じた時。
「…」
軽いリップ音がして、友から離れた。
目を開けた友は膨れてこちらを見やる。
「キス」
「しただろ」
「おでこじゃないんだよ、チキン」
暴言を吐いて友は部屋に駆けて行った。ガチャンと音がして、閉じ籠もったのがわかる。
僕は鶏じゃないぞ。
だがチキンなのは認める。
「まだ無理だろ、僕達両片思いから卒業してから何日だよ」
僕の言葉にチキン!と友の声が聞こえた。
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