小説
メリ誕(2016.7.4)
「ハッピーバースデーアメリカ!」
玄関を開けたら、両手いっぱいの花束を祝いの言葉と共に差し出された。それを受け取ったら抱き締められてキスされた。
花の蜜の甘い匂いをさせたフランスは、オレのために料理を作りに来てくれた。
なんたって、今日はオレの誕生日だから!
「何食べたい?」
「フランスの作るものならなんでも好きだぞ!」
「嬉しいこと言ってくれるじゃない。でもアメリカの食べたいものがいいかな」
「じゃあフレンチのフルコース!」
「はいよー」
子供みたいにはしゃぐオレを、フランスは優しく撫でてくれる。
今日は1日中誰かしらが来たり、プレゼントが届いたり、慌ただしい1日だった。
隣国のカナダはホットケーキを焼きに来てくれて、彼の作る甘いホットケーキはとても美味しかった。昼を過ぎたら日本からユカタが届いて、カナダと2人ではしゃいで着た。
その間もロシア姉弟から刺繍付きのコートが、中国からはえーと、きれいなたん…反物?が、スペインはロマーノと連名でたくさんトマトが、イタリアからはきれいなガラス細工が、ドイツとプロイセンからは大量のじゃがいもが、リトアニア・ポーランドからは琥珀のネクタイピンが。
イギリスはわざわざおやつにスコーンを持ってきたから丁重にお帰り願ったぞ。スコーンは砕いて庭に撒いた。
「いっぱいプレゼント来たね〜」
「スイスからチーズ来たぞ。リヒテンシュタインからはワインが」
「じゃあじゃがいももあるから、グラタン作ろうか」
「やった!」
1つ1つ説明するオレをにこにことフランスは見ていた。イタリアから貰ったガラス細工は花瓶だとフランスから教えられ、初めて気付く。フランスからの花束を飾ってテーブルに置くと、とても華やかだ。
「よく気付いたね」
「むしろ気付かないのはどうなの。イタリア、きっとオレが花束持ってくのわかってたんだろうなぁ、ちょっと悔しい」
僅かに眉根を寄せて、フランスは悔しそうにする。その顔を今日、見ていたくなくて、自分からキスをした。
少し恥ずかしい。
「…今日誕生日だから」
「あー、ごめん。そうだね、笑顔がいいね」
ふにゃり、と笑ったフランスはオレの頭を撫でてくれた。ああ、やっぱり笑顔がいいな。
「…フランスー」
「なぁに」
「今日ご飯食べたら一緒に寝るぞ」
「…やだかっこいい」
「…あ、違うぞ、そーゆー意味じゃなくて!」
「お兄さん楽しみにしてるね」
「まっ、フランス!」
料理の続きに戻ったフランスの肩が揺れてる。笑ってる、からかわれたんだぞ!
ちょっと許せなくて、でも嬉しくて、ごっちゃになった心は暖かい。
「フランスご飯まだ?」
「はいはい待ってね、先にお菓子あげるから」
「わーい!フランス大好きー!」
「現金なやつー」
甘いお菓子を頬張るオレの頬に、フランスはキスしてくれた。
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