小説
最近の流行り(立波・仏米・その他)
最近の流行りは特別な相手とお揃いの物を交換すること。
「リート、帰るし!」
「ちょっと待って、準備するから」
例えば、恋人同士と。リトアニアが着けているネクタイはポーランドの物だし、ポーランドがバッグにリボン結びにしているのはリトアニアの物だ。
「フランス、今日君の家に行っていいかい?」
「いいよー、イタリアからジェラートもらったから食べようか」
「year!!フランス、大好きだぞ!」
「それはジェラートあるからかな〜?」
最近フランスさんとアメリカさんが付けている赤と青のヘアピンは、お互いに交換した物(だとイギリスさんが喚いていた)。
「ヴェー、兄ちゃん帰ろうよー」
「スペイン帰ってくるまで待ってろ」
「お腹空いたー」
「オレもだから黙ってろ、余計腹空くんだよ、バカ弟!」
例えば、兄弟と。イタリアさん兄弟は色違いのピアスを片方ずつ交換している。イタリアさんは特に嬉しそうだった。
「イギリスさん、遅くなりました。帰りましょうか」
「いや、待ってねぇぞ。オレも今来たところだ」
「あら…そうですか。…ふふ」
「なに笑ってんだよ」
「いえ、別に」
例えば、友人と。日本さん手製の栞には、桜とバラの押し花が貼られていた。2人の国花を友情の証にと作られた物だった。それを2人は持っている。
そして、僕は。
「エストニア、帰ろうか」
「待ちくたびれたよ、フィンランド」
友達のフィンランドと、彼が作ったキーホルダーを交換している。僕のもちをフィンランドに、彼の花たまごを僕に。可愛らしく作られたそれは鈴が入っていて、揺れると音が鳴る。
僕の宝物の1つ。
「ちなみに、フィンランドはスウェーデンさんと何を交換したの?」
「スーさんとはマグカップを交換したんだ。色違いなんだけどね、僕とスーさん、それぞれに似合う色を敢えて交換して使ってるんだ」
「何色?」
「スーさんが赤で、僕が黒」
「…似合わない…」
「でしょ?でも面白くってそのまま使ってる」
にこにこと笑う彼は本当に嬉しそうだ。だから僕も嬉しい。
チリンと音が鳴ったキーホルダーをぶら下げて、僕達は夕日の中を歩いて帰った。
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