小説
色違いの食器たち(仏米)
フランスがオレとつ…付き合うようになってから、オレの家に食器が増えた。それもオレとフランスが使う2組の食器が。赤、青、黄色、ピンク、透明。もちろん白もある。でも全部、お揃いではあるが色違いだった。
「ねえフランス」
オレは綺麗に揃えられた食器を指差してフランスに問う。
「なんでオレ達の食器は色違いなんだい?」
「えー?だめ?」
「いやだめじゃないけど…」
「間違えたら嫌じゃん」
フランスはくるり、とやはりオレと色違いのカップの縁を指で触れる。
…嫌ってなんだい?
「…何が嫌なんだい?」
「んー」
「オレと食器が同じなのが嫌なの?」
「…アメリカ?」
「…オレはお揃いが良かったぞ」
少し膨れて下を向く。フランスと綺麗に掃除した床が見えた。でもすぐにフランスの顔が映る。少し困った顔をしていた。
「アメリカ」
「なんだい」
「…色、アメリカに合うように選んでるの、いつも」
「え」
オレが顔を上げると、フランスは優しく頭を撫でてくれる。髪を梳くように撫でるフランスの撫で方は好きだった。
「赤、とか青が似合うよ。お前に」
「…フランスも」
「もちろん。だから同時に同じ皿買ったら色被っちゃうでしょう?だから嫌なの。これはアメリカの色なのにって思っちゃうから」
「…」
「悲しませてごめんね。今度一緒にお揃いのを買いに行こうね」
フランスの謝罪にオレは首を振る。
「…皿はお揃いだから、今のままでいいぞ」
「でも色が」
「…フランスの色なのにって思っちゃうから、いい」
「え」
ぽかんとこちらを見るフランスの頬がみるみる赤くなっていく。
やっぱりこのセリフ、言うの恥ずかしいよフランス。
「…やだ恥ずかしい」
「最初に言ったの君だぞ」
「それはオレが言うから良いのであって…でもアメリカ可愛かったよ」
「…言われるならかっこいいがいいぞ」
「かっこいいよ、アメリカ」
恥ずかし気もなくフランスはそう言って、オレにキスした。言われてされたオレは恥ずかしくて消えたくなったけど、そんなことしたらフランスを悲しませそうで、だからオレからもキスをする。
「…フランス、今日は赤い皿で君の料理を食べたいぞ」
「じゃあオレは青にしようかな。デザートはアメリカで」
「違うぞ、メインさ」
「じゃあ先に頂いちゃおうかな」
フランスに肩を押されてソファに倒れる。覆い被さるフランスの肩越しに、食器棚が見えた。
でもやっぱり同じ色もいいな。今度2人で買いに行こう。
二人の関係
「rim」様より
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