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小説
祖国誕!(2017.2.11 日英)

「HappyBirthday!日本!!」

扉を開ければバサッと目の前が真っ赤に。真っ赤なバラを抱えたイギリスさんはにっこりと微笑む。
受け取ればずっしりと重く、むわりと香りが漂う。ちらちらとこちらを盗み見るイギリスさんに礼を述べれば、ぱっと顔を輝かせた。
可愛らしくて笑ってしまう。

「こんなにたくさん、ありがとうございます」

「いいんだよ、今日はお前が主役だから」

なんでもワガママ言ってもいいんだぞ?
イギリスさんの言葉に少し首を傾げて、特にないと答える。それにイギリスさんはガッカリしたようだった。

「お前謙虚過ぎんだよ。たまには言わないとアメリカとかすーっごく声のでかい奴に埋もれちまうんだよ」

「…まあ、確かにそうですが」

「ほら、なんでもいいから言ってみろよ。俺ができることならいくらでもやってやるから」

今日はすごく甘いですね、なんて話しながらバラを生けてテーブルの上に置く。やはり日本屋敷には似合わないな、と思うが多分この花は彼が育てたものだろうことを考えると顔がにやけてしまう。
もちろん長年鍛え上げてきた表情筋を駆使していつもの無表情…よりは表情のある顔に仕上げているが。
そうですね、と考えながら相手を見る。イギリスさんはキラキラした顔でこちらを見ていた。まるで母親に手伝いはないかと訊ねる子供のように。

「…そう、ですね」

可愛らしい可愛らしいめちゃくちゃ可愛い写真撮りたい撮りたい撮りたい。
ちょっと携帯開いていいですかね。誕生日プレゼントはそれで十分なのですが。
おもむろに携帯を取り出し、無言で撮る。きょとんとしたイギリスさんは、すぐにカッと頬を赤らめた。

「なっ、…!?」

「ああすみませんすみません私が悪かったのです、お願いですから帰ろうとしないで下さい」

「…だってお前が」

「ええ、ええ、私が悪いのです。ですから、拗ねていないでこちらを向いて下さい」

イギリスさん。
名前を呼べば渋々と彼はこちらを向く。その頬に手を当てて、そっと引き寄せた。
唇が触れる。

「…誕生日プレゼントは、これで十分なのですよ」

「…本当にお前は欲がねぇな」

「ありますよ?現に、貴方を独り占めにしたくて堪りません」

貴方を誰にも渡したくない。触らせたくない、見せたくない。
暗い部屋でずっと、2人で。
なんて。
なんて重い。こんなの、隣に立つ資格はありませんね。

「…ではこうしましょう。今日イギリスさんは私と1日を共に過ごすこと」

「いつもと同じじゃね?」

「私が貴方を独り占めしたいのです。ですから、誰からも電話に出てはいけませんよ?」

「…ほう」

「私も誰が来ても玄関を開けません。2人で面白おかしく過ごすのです」

にこり、笑って顔を覗き見る。イギリスさんはにやりと笑って。

「乗った!じゃあまずは携帯の電源切るところからだな」

そうして2人同時に取り出し、電源を落とした。



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あきゅろす。
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