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◆一輪の花?(エムペ版)
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なぜか私は、ツンツン頭の生徒にガバッと抱きつかれ、あろう事か私の首元に顔を埋めると囁きだした。

「キミって、甘くていい匂いがする」

「は?」

「しかも抱き心地サイコー」

彼が囁く度に首元に息が掛かって、ゾワゾワと何かが背中を這い上がってくる。

余りにも突然の事に脳が対処出来ていないようで、私の身体は金縛りにあったように硬直し、更には全身に鳥肌まで出現しだした。

「あー、秋月先輩? そろそろ凛から離れてくれませんかね? 凛の全身に拒否反応出てますし」

私と秋月先輩と呼んだ生徒の間に龍兄は腕を割り込ませ、私達を引き離す。

龍兄はそのまま私の腕を取り、匿うように背後へと隠してくれた。

「なんだよ、いいところだったのにーって、若林と圭一じゃん。いつからココに居たんだ?」

秋月先輩は、あっけらかんとした表情で二人に「よおっ」と、軽く片手を上げる。

そんな秋月先輩を見て、幸田君は大きな溜息を吐き出し、目に見えるほど両肩を落とした。

「最初から居ましたよ。全く、いいかげんその手癖悪いの治して下さいよ。どんだけ節操無しなんですか」

呆れた様子の幸田君を見て、秋月先輩は何やらニヤニヤとほくそ笑んだ。

「圭一ったら、可愛いんだから」

「はあ?」

「この子に妬いちゃったんでしょうー?」

「例え地球が滅んでも、それは絶対にありえません」

幸田君は、清々しいほどキッパリと言い放つ。

「またまたぁ、照れちゃってー」

一指し指を幸田君の頬に突き刺して、明るく笑う秋月先輩を幸田君は、冷たく睨み見上げている。

幸田君は、明らかに怒っているようなのだが、秋月先輩には、全く気にした様子は見受けられない。

どうやら、秋月先輩は何処までも自分に都合よく物事を変換出来る人のようだ。

そういえば、あの人も……

「で、キミ、一年? 名前はなんていうの?」

秋月先輩に話しかけられ、私は硬直していた身体を動かし小さく頭を下げた。

「今日転校してきました。尾崎 凛といいます」

「へえ、尾崎 凛君かあ。名前まで可愛いねえ」

目を細め、獲物を見つけた獣のような瞳のまま、口元に弧を描く。

何故だろう、背中に嫌な汗が流れてくる。

私は、隣に居る龍兄のブレザーの端を軽く握り込みながら、無理やり笑顔を作り上げる。

「あ、ハハ、どうも」

自分でも顔の筋肉が引きつってるのが判った。






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あきゅろす。
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