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◆一輪の花?(エムペ版)
昼休み



「ここが食堂だよ。あそこの券売機でチケットを買って、カウンターのおばさんに渡せばいいんだ。ちなみにオススメはハンバーグ定食!」

賑わいを見せる校内の学食堂で、幸田君はニコニコと笑いながら説明をしてくれる。

私も幸田君の笑顔につられて微笑みながら「そうなんだ」と、相槌をうった。

幸田君は、世話好きな性格のようで不慣れな私を何かと気遣ってくれている。

少し人見知りの気のある私でも幸田君は話しやすくて、なにより気さくな雰囲気が安心感をもたらしてくれる、本当に良い子だ。

「いや、日本人なら和食Bセットだろ! あの焼き鮭は塩加減が絶品だぞ!!」

龍兄は私の眉間に指をさしながら、そう断言した。

「そ、そうなの?」

眉間に指された指を見ながら、龍兄の熱い勢いに思わず後退りする――と、ドンと背中に何かが当った感触がした。

「おおっと!」

誰かにぶつかったと、判断した私は反射的に「スイマセン」と、謝りながら人の声がした方に振り返る。

目の前に現れたのは……白い布?

少し身体を離せば、それは、白いワイシャツだと判明した。

白いワイシャツの上にはボタンが外された制服のブレザーに緩められたネクタイ。

そのまま辿るように視線を上へと上げる。

そこには、赤みのある短髪の髪をツンツンと逆立て、背が高く身体つきもガッチリとした生徒が立っていた。

「いや、こっちも視界に入ってなかったから。悪かったな。怪我はない……おおー?」

男らしく、しっかりとした眉の下にある二重の茶色がかった瞳が目の前に迫ってくる。

――なんだろう。

物凄く見られてる。

じろじろと音がするぐらい、全身を舐めまわすように見られてる。

彼の吐息が、頬の表面をなぞっていく――てか、顔、近っ!!

ヘタに動いたら接触してしまいそうだ。

でもこのままだと、女だってバレるんじゃ……あれ?もしかして既にバレてたりする?

だから、こんなに穴が開きそうなほど見られてるんじゃ――

グルグルと猛スピードで思考が駆け巡っていく。

「キミ、さ」

突然かけられた声に身体がビクリと反応した。

「うあっ、は、ハイ!」

「凄く可愛いねー。彼氏いるのー? 俺、立候補したーい」


……ハイー?




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あきゅろす。
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