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◆一輪の花?(エムペ版)
B



目の前に尾崎がいる。

ただそれだけで、苛立ち、不安、悲しみ、怒り、色んな気持ちが自分の中で渦巻き爆発を起こした。

「――っ尾崎! 何処に行ってたんだよ!! 朝からずっと、昼飯まで食わずに探してたんだぞ! 大体、尾崎は俺のボディーガードなんだろ! なんで、傍にいないんだよ!!」

尾崎は、目を丸くしながらも律儀に「ごめんなさい」と、小さく謝る。

「――って、違うだろ俺ぇぇ!!」

俺は慌てて首を横に振った。

「い、いや、そうじゃないんだ、そうじゃなくて」

気持ちを落ち着かせる為に何度か大きく深呼吸をする。

俺が伝えたい事はこんな事じゃないんだ――意を決して口を開く。

「昨日は、ごめん!! あれ、殆んど八つ当たりなんだ。俺さ、なんか尾崎の一番の友達だと思い込んでてさ……その、子供みたいだけど、悔しかったんだよ。美咲先輩達が、俺より尾崎の事を知っていてさ。尾崎が俺より美咲先輩達の方を信頼しているんだと、思ったら凄く腹が立って。それにさ、同じ生徒会役員なのに、なんか除け者にされたような気がして……って、何言ってんだろうな、俺? 自分で解らなくなってきた」

口にすればするほど思考が纏まらなくて混乱してくる。

頭を抱えだした俺に尾崎は、穏やかに微笑んだ。

「ゆっくりでいいよ。落ち着くまで待ってるから」

片手をそっと握り締めてくれる尾崎の手は、やっぱり少し冷たくて……でも誰よりも温かく感じる。

「――尾崎に会えなくなるかもしれないと思ったら、居てもたってもいられなくて、胸が痛くて、悲しくて……苦しかった」

するりと、俺の口から出た言葉は、本音そのものだ。

「俺も、尾崎と一緒に居ることが本当に楽しかったんだ。尾崎は一生涯の親友になれる奴だって思えたぐらいに――」

「……こうだ……くん」

「尾崎が仕事の為に俺と仲良くしてくれていたのは判ってる。だからさ、これからは仕事関係無しに、友達になってくれないか? 俺は、尾崎 凛、個人と仲良くしたい」

真っ直ぐに尾崎の目を見て、気持ちをぶつける様にそう告げた。



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