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◆一輪の花?(エムペ版)
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「凛君って、結構、熱い子だったんだな」

秋月は扉に寄り掛かり「青春だなー」と、微笑む。

「そうですねえ。それに素直で良い子ですよねー」

眩しそうに目を細め笑う香山に秋月は勢いよく振り返った。

「やっぱさ、あれかな? 圭一の怒った理由」

どことなくウキウキした様子の秋月に香山も楽しそうに答える。

「あー、会長もそう思います?」

「なんだ、稔も気付いたか?」

「ええ、なんとなくですがね。でも多分、本人もまだ気持ちに気付いてなさそうですがねえ」

秋月と香山の会話の内容に、美咲と斉藤が顔を見合わせて、首を捻った。

「玲と修二は判ってないみたいだな」

そんな二人を見て、秋月はククッと声を殺して笑う。

そして、数秒も経たないうちにスウッと今までの笑顔が面に隠されたように消えた。

凛々しい眉の下から、鋭い眼光が美咲を見据える。

美咲は、秋月の威圧感のある意志の強そうな瞳を前に、姿勢を正した。

「さて、玲、そろそろ隠している事……話してもらおうか?」

普段は締りの無い表情ばかりの秋月の顔が、いつになく真剣な表情になる。

こういった表情の秋月には、嘘や小細工は全くと言っていい程効かない事を美咲は嫌というほど知っている。

美咲は、観念したように、ため息を吐くと「判りました」と、答えた。




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あきゅろす。
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