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◆一輪の花?(エムペ版)
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沈黙が空間を支配する中、デスクに置かれた時計の時を刻む音だけが支配を逃れ規律正しい音色を奏でている。

そんな中、私は戸惑いながらも沈黙を破った。

「幸田君……あの」

どこから話を聞かれていたのだろうか。

私が見上げた先に居る幸田君は、今まで見た事ないぐらいに苦しそうに顔を歪めていた。

「尾崎が俺のボディーガードって、どういう事なんだ? 本当……なのか?」

幸田君の問いかけは、全て聞かれていたという事を示している。

「そ……れは」

どう伝えればいいのか判らず言葉に詰まってしまう。

クライアントとの契約がある以上、私の口からは事実を伝える事は出来ない。

だからといって、既に誤魔化しも効かないだろう。

それに仕事とはいえ、友人として接してきてくれた幸田君を騙していたんだ。

そんな私が、弁明する事すらおこがましい気がして、何も言葉に出来ない。

俯く私の肩に、少し冷たい手が掛けられた。

「本当だ。とある人の依頼により、尾崎君が派遣された。尾崎君は幸田君のボディーガードだよ」

「美咲先輩!?」

美咲先輩の思いがけない台詞に、耳を疑ってしまったが、どうやら幻聴ではないらしい。

「尾崎君、ここまでバレたのなら、下手に隠さない方がいい」

声のトーンを落とし囁きながら、美咲先輩は肩を掴む手に力を入れてきた。

「ですが……」

美咲先輩から顔を逸らした先に居た幸田君が視界に入る。

幸田君は、険しい表情で睨むように私を見据えている。

ビクリと体が震えた気がした。




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