◆一輪の花?(エムペ版)
D
※
「香山君。くれぐれもオイタはしないで下さいね?」
美咲は、小さくなっていく凛の後姿に目をやりながら、溜息混じりに呟く。
香山も美咲同様、凛に視線を向けたまま口の端を上げた。
「やだなあ、変態会長じゃあるまいし。まあ、確かに興味はあるけど、大丈夫だよ」
「それならば、いいんですが」
美咲は疑惑を含んだ眼差しで隣に立つ香山を見下ろす。
はっきりと香山の口から否定の言葉を聞いたのだが、やはり不安感は拭えない。
一生懸命仕事を全うしている彼女の仕事に支障をきたすような事にならなければいいのだが。
心の中で溜息をひっそりと吐き出した美咲は、踵を返し歩き出す。
そんな美咲の背中に香山は猫のように目を細めると囁くような声で「今はね」と、投げかけたが、美咲の耳には届かなかった。
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