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◆一輪の花?(エムペ版)
A


私の兄と、龍兄とは幼馴染で親友という関係にある。

今回、私が此処に来たのは、龍兄の依頼でもあるのだ。


尾崎財閥が手掛ける企業の一つには、アジア圏を中心に展開する総合警備会社がある。

尾崎総合警備保障会社。

セキュリティーから個人を守るボディーガードまで手掛けている売り上げ急上昇中の会社だ。

この会社の責任者が、尾崎 朔、血の繋がった兄であり、私に任務を指令してきた上司でもある。


今回の龍兄からの依頼は、ある少年を守る事。

少年の名前は、幸田 圭一(コウダ ケイイチ)。

意味はよく判らないけど、龍兄の積年の想い人なのだと、兄から聞いている。

彼の生活を壊さずに彼の身を守って欲しい。と、いうのが龍兄の依頼内容だった。

依頼内容からして、ターゲットは龍兄とって大切な人なんだろう。

龍兄の用件を呑み任務を遂行するには、ボディーガードは、自然な形で彼の行動を監視出来る立場でないといけない。

ならば、同級生という形が良いだろうと、ボディーガードを転校生として、派遣する事になり、その役目が私に回ってきたのである。

「兄貴、明らかに私の足もとみてるよね。断れないの判っててこの役目押し付けてきてるもん。でもさ、普通こういうのは、男性従業員がやるべきだと思わない?」

「うーん、でも朔の所の男の従業員って、老け顔か厳つい顔ばかりで、どうやっても高校生に見えないしなあ」

「うっ、確かに……そうだけど」


――傍から見れば、ヤのつく家業の人にしか見えないような強面、ゴツイという表現が丸々当てはまる体の持ち主ばかりだ。

ボディーガードという仕事上、やはり身体が資本なのは当たり前の事。

武術から武器の扱いや、それに準ずる知識、状況判断力なども当然必要だ。

だが、一番必要なのは、豪胆な心だろう。

ボディーガードという仕事は、常に危険と隣り合わせといっても過言ではない。

いざという時には、身を挺してターゲットを守らなくてはならないのだ。

そんな仕事ゆえ、集まってくる従業員は、どうしても仁侠映画に出てきそうな輩が多い。

決して豪胆な心と身体の大きさはイコールではないと思うのだが、なんらかの関係はあるのかもしれない。




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あきゅろす。
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