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◆一輪の花?(エムペ版)
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寮生達のざわめきや、ご飯や煮魚などの食べ物の匂いが充満する寮食堂。

男ばかりなので、むさ苦しさを覚えるが、私はここの活気がある雰囲気を結構気に入っている。

「おや、幸田君に尾崎君。今から食事かい?」

トレーを持って、空いている席を探していた私達に美咲先輩が声をかけてきた。

「あ、美咲先輩! ……と、斉藤先輩。おはようございます」

幸田君の挨拶の後に、私も挨拶を重ねる。

「ああ、おはよう」

優美に微笑む美咲先輩の真向かいの席で、黙々と味噌汁を飲んでいた斉藤先輩も、ボソリと「おはよう」と、返事した。

「席を探しているのなら、隣が空いているよ」

そう言うと、美咲先輩が座っている、隣の席を指差す。

そこには、向かい合う形でちょうど、二席分空いていた。

「あ、ありがとうございます! 尾崎、座ろうぜ!」

「うん」

幸田君は美咲先輩の隣に、私は斉藤先輩の隣に座り、食事を始める。

寮の朝食は、和食と洋食に分かれていて、好きな方を選べるようになっている。

因みに私は和食を選んだ。

メインのサバの塩焼きは、脂がのっていて租借するたびにうま味が口の中に広がって、とても美味しい。

「美味いよな」

ぽそっと、隣の斉藤先輩が呟く。

私が顔を上げて斉藤先輩を見ると、目線だけを私に向けた斉藤先輩が「サバ」と、付け足した。

斉藤先輩も今日は和食のようで、表情はいつも通りなんだけど、美味しさを分かち合おうと思ってくれてるらしく、なんだか嬉しい。

「はい。すごく美味しいですよね」

「今日のサバ、そんなに美味しいんだ……俺も和食にすれば良かったな」

悔しそうにする幸田君と、くすくすと楽しげに笑う美咲先輩は、今日は洋食をチョイスしている。

「幸田君、よかったら少し食べる?」

一口大の焼きサバを箸で摘み、幸田君への口元に持っていくと、幸田君は目を見開き驚いた様子で固まってしまった。

何を驚く事があるのだろうかと、首を捻りながら「食べないの?」と、問えば幸田君は小さく口を開いたので、えいっと、その中にサバを放り込んでやる。

幸田君は少し頬を赤くしながらも租借した。

「……美味い」

「でしょ?」

「二人共、随分と仲良くなったんだね」

そう言った美咲先輩が、何故か笑いを堪えていて、疑問符が脳内を埋め尽くす。

私、何かおかしな事したんだろうか……




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