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◆一輪の花?(エムペ版)
B


「全く、あの人も仕事している時は、ちゃんと生徒会長らしいのに」

幸田君は、肺の底からため息を吐き出す。

秋月先輩は、仕事をしている時は人が変わったように、バリバリと仕事をこなす。

器用に何でもこなし、頭の回転も速い。

幸田君のように下級生から突っ込まれたりする性格なので、人当たりがよく気さくで、生徒達には意外と慕われているようだ。

「確かにあのセクハラは困りものだけど、なかなか憎めない人だよね」

「性質が悪いんだよ」

むすっとしながら毒づく幸田君は、突然何かを思い出したかのように「あっ!!」と、声を上げた。

「な、なに? どうかした?」

「今日、天気よくなりそうだから、シーツ洗濯するんだった」

――ああ、それでシーツ持っていたんだ。

確か、昨夜の夕食時に観たテレビの天気予報では降水確率0パーセントって言ってたっけ。

「尾崎はシーツどうする? 俺のと一緒でいいのなら洗うけど?」

「えっ、いやそんなの悪いし!」

「ああ、気にすることないよ。洗うって言ったって、洗濯機な訳だし、あのデカイ洗濯機で一枚だけシーツ洗うのも不経済な気がするし……」

幸田君は「俺って、貧乏性だから」と、苦笑いしながら付け足した。

寮の洗濯機は共同になっており、布団を丸々一枚洗える大きさの洗濯機で、シーツなら、二、三枚ぐらい軽々と洗えそうな代物だ。

確かに一枚だけというのは、不経済な気もするが――それでも、男の子に洗濯してもらうのは気恥ずかしい。

だが、折角、善意でこういってくれている訳だし――お願い……したほうがいいのかな?

「じゃあ、お願いしようかな?」

私が戸惑いながらそう言うと、幸田君は心底嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。




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