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LONG
特別 1



古キョンです。
化学教師古泉×生徒キョン



■特別




「なんであんな奴が
女子にモテまくるんだ?」
俺は納得出来ん、

と愚痴をこぼす谷口と、
それにてきとうに相槌を打つ
俺と国木田。

そんな谷口の視線の先は…

我が北高の化学教師、
古泉先生だ。

その古泉先生はといえば、
廊下で女子生徒に囲まれて、
少し困ったような、
柔和な笑みを浮かべていた。


古泉一樹先生。

長身に整った顔立ちという
非の打ち所のない容姿。
それに物腰も柔らかく、
頭も良い理系教師。
24歳独身。

なんでただの一生徒の俺が
こんなに古泉先生について詳しいのかって?

キモいとか言わないでくれ。
これにはちゃんと理由がある。


廊下で立ちっぱなしの古泉先生を見ていると、
ふと教室の中の俺と目が合う。

すると、古泉先生は…
俺に一つウインクをくれた。

そんな気取ったような仕草も、
古泉先生なら様になるものだ。


なんでその人気者、
古泉先生が
俺なんかにウインクをくれたのか…



そう、俺と古泉先生は――

小さい頃からの幼なじみで、
現在もお隣りさんなのだ。

8歳も離れているから、
幼なじみというよりは
近所のお兄ちゃんだった。

俺と妹は、
『一樹くん』と呼んで、
ずっと慕っていたものだ。


その一樹くん――
もとい古泉先生は
今年から、俺の通う
県立北高校の化学教師に新任採用された。

先生になりたいらしい
ということは前々から知っていたが、
この北高に勤めるとは知らなかった。

後々聞いた話では、
俺を驚かせたかったらしい。

もちろん古泉先生の作戦は成功だった。
俺は大いに驚いたさ。

そしてあの時、
古泉先生が教壇に立って
挨拶をした時も――

呆然としている俺に、
軽いウインクをくれた。


驚いたと同時に、
すごく嬉しかった。

なぜなら俺は――

ずっと前から、
古泉先生…一樹くんのことが、

好きだったからだ。



もちろん誰にも言ったことはないし、
言うつもりもない。

不毛な恋だというのは
重々承知の上だが、
仕方ない。

物心ついた時から、
何かと世話を焼いてくれる一樹くんのことは大好きだった。

それがlikeではなく
loveだと気付いたのは、
中学生になったから。

俺はホモなのか?
なんて不安にもなるが、
そこのところは分からない。

男が好きなのか、
古泉先生が好きなだけか…

なんせ、初恋だからな。



もちろん、
古泉先生に告白なんてするつもりもないし、
今の関係で良い。

わざわざフラれて
この関係を壊す必要もないし。


ただ今は――

たくさんの生徒の中で、
ちょっとだけ古泉先生の特別になれれば、
それでいい。



この気持ちも考えも、
ずっと変わらないものだと
俺は思っていた。









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