短編 最近熱中症(仙道ダイキ) 「仙道くん」 ふわりと、風のように耳の前に通った声。 聞いたことのある声だ。…いやむしろ自分のよく知る声だ。 俺は振り返ってアイツの名前を言った。 「○○」 そう言うと、アイツは嬉しそうな顔をしてコッチに走ってくる。 まるで犬みたいなヤツ。わかりやすい 「仙道くん!」 俺の名前をもう一度言うと抱き着いてきた。 少しよろけるがすぐに体制を直す。 俺の背中に両手を回して思いっきり抱きつくコイツ。 「急にどうしたんだよ」 「仙道くん見つけたから来たの」 そのまま見上げるコイツ。 小さくて、弱くて、………目が離せない。 溜息をつくと俺は離れないように腕を回して抱きしめる。 「それだけかよ」 「うん、それだけ」 くだらない事をよくまぁ考え付くもんだ。 頭を撫でると、コイツは気持ちよさそうに目を瞑る。 可愛いヤツ。 「仙道くん」 「あぁん?」 「……大好き」 コイツの突然の告白に、さすがの俺も撫でていた手が止まる。 不意打ちとはやるねぇ、不覚にも胸のあたりがドキリと鳴った。 「ごめんね、急に」 「○○」 名前を呼ぶと、少し頬を染めたお前が居た。 へぇ可愛いじゃん。 「…好きだ」 そう言うと、さっきよりも真っ赤になるお前。 面白くなって俺はそいつのおでこ、瞼、頬にキスした。 「ひゃっ」 「好きだ…。死ぬほどね」 耳元で呟くと、腕の中におさまっていた小さな体が震えた。 感じたのか? 「…目瞑れ」 そう言うと、小さく頷いて目を閉じる。 本当に可愛いヤツ。 ますますハマっちまう。 そのまま深いキスを交わした。 (水分補給しても直りそうにない) [*前へ][次へ#] |