[携帯モード] [URL送信]

Uターン
レインとケチャップ
「………!!!!」
「起きたの、遅起きさん。出る?」
「………!!」
「そう、じゃあちょっと待って、ね」
「……」
「ゆっくりね。よーいしょっと」
「ふーっ」
「はい、タオル。パンツちゃんとはける?」
「はけるっ」
「服そこに置いてあるから、着るんだったら着なさいね」
「わかった」
「よく眠れた?」
「うん」
「そう」
「ちょっとだけだけど、また昔の事思いだしたよ。夢で、出てきたんだ」
「聞かせてほしいな」
「うん。ぼくはさ、昔、足が速かったんだ。頭はよくなかったけど、運動は得意なんだ」
「今からは、想像できないね」
「ぼくもだよ。それでさ、大会に出たんだ。準優勝したの、お父さんがいつも忙しいけど特別に休んで来てくれてね、二人でお祝いにでっかい鳥を焼いて食べたんだ」
「お父さんに会いたい?」
「うん……」
「そう。じゃ、お母さんがいつか、会わせてあげる」
「え?」
「ん?」
「ぼく、普通の人間だったよ。お父さんも」
「……」
「ずーっと、昔のこと思い出してからどうしてだろうって思ってた」
「知りたいの?」
「うん。ぼくがどうしてこうなったか、分からないなんてやだよ。自分の事なのに」
「レインも、もうおっきいもんね。じゃあ隠し事はもう、なしよ」
「うん」
「レインはさ、お父さんのお仕事なんだったか覚えてる?」
「ううん」
「研究員なの。分かりやすく説明すると、ヒトの能力を伸ばすとか、そういうものよ」
「うん……」
「実験をするのに、実験体が居る。人間を使っちゃだめ、危険だから。でも、レインのお父さんは人に手を出しちゃったの。かなり完成に近づいていたから、早く完成させたかったの」
「……」
「レインをね、実験に使っちゃったの。実験は大失敗しちゃって……、死にかけていたレインを私がなんとか助けたの。手足が使いものにならなかったから、今みたいになったのよ」
「お父さんは、どうしたの?」
「どこかへ行っちゃった。レイン放ってね」
「どうしてそんなに知ってるの?」
「昔人間に混ざって生活していた事があってね、その時の出来事。研究員してたから」
「ふーん……」
「もう、これで終わりよ」
「なんていうか……、たぶんそんな感じだろうって思ってたよ」
「ショックじゃない?」
「ぼく、大人かって言われたら微妙だけど、もう子供じゃないから」
「昔はいっつも泣いてたのに、成長したね、ほんと」
「でしょ」
「いつの間にか、また四人になったね」
「アイちゃん、元気かな?」
「アイちゃんね、お父さんのギターと一緒に歌手になったんだって。結構売れてるみたいよ」
「すごいなあ。アシュレイちゃんも全然来なくなったし……、ダニーはあれだけマチちゃんすきすき言ってたのにあれから全然帰ってこないし」
「アッシュはグレイと魔界に居るんじゃないかな。そのうち飽きて戻ってくるよ」
「そっか、楽しみ。お母さんはマイケルくんと上手くいってるの?」
「……ま、まあまあかな。だってあの人、欲ないでしょ。私魅力ないのかなって……、それ以外は上手くやってるよ、うん」
「お母さんかわいいよ、大丈夫だって。マイケルくん結構臆病だもん。同じ事思ってるよ、きっと」
「……ありがと」
「ご飯食べよーよ。お腹すいた」
「そうね、そうしましょ」




[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!