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Uターン
テディとぼく
「や、こんばんは」
「うわ出た……」
「出たって……、酷いなぁ」
「何の用……」
「いいじゃないか。コーヒー、ある?」
「……飲んだら帰れよ」
「えー」
「……」
「ずいぶん、こっちの生活やその体に慣れたようだね。向こうのヒトだとは思えないよ」
「……ほらよ」
「どーも。腕の調子はどうだい」
「最近、縫い目が痛む」
「ふむ……。腕の変え時かね。そろそろかと思ったんで新しいのを持ってきたのさ」
「この腕はどうするの?」
「狼女にでもくれてやればどうだね」
「……それはさすがに……」
「僕はいらないから、好きにしな。ほら服、さっさと脱いで」
「うーん……」
「あー……。こりゃあ痛むよ。縫い目は弱くなってるのに血管だけがっちりくっついちゃってる」
「いった!痛い痛い!あんまりいじるなって!」
「……」
「いっ!ちょっと!おいっ!痛いんだって!」
「いやぁ。ちょっと楽しいな」
「馬鹿野郎!冗談じゃなく痛い!」
「なー、ちょっと興奮してきた……」
「はぁ!?」
「一発やんない?いやぁ、腕ぶちっと引っこ抜きながら出すとか、想像しただけで……」
「いいって言うと思って言ってる?」
「うん」
「世界一の馬鹿だねホント」
「しゃーねえ、腕は我慢しよう。ファックは新しいのと入れ替えてからだ」
「いや、やらないよ?」
「うるせー童貞!そのケツにぶちこんでやる!」
「もしかして酒入ってる?」
「酒〜?入ってねーよ!なんか興奮したらテンションおかしくなってきただけ!」
「変な所縫い付けんなよ」
「大丈夫大丈夫、テンションは高いが僕は至ってクール、冷静さ」
「うーん……」
「うっし、痛いけど我慢しろよー」
「いっ!!たっっい!!」
「超痛いのはここまで。頑張ったな偉いぞマイ太郎」
「これまでの人生で三番目くらいの痛さ」
「………………よーし」
「うわ、取れてる」
「取れてるよ、僕むっちゃ取ったんで。ゾンビは乱暴にしてもいいから楽だよほんと」
「他だったら?」
「人間みたいに眠らせて麻酔して、まで行かないけど。もっと叫ぶよ」
「へー」
「ちくっとするよー。ちくちくするよー」
「…………あー!」
「僕の冷静さに惚れたろ?」
「いや全然……。ちくちく感がこそばい」
「暴れんなよー」
「努力する……」
「……こっちの生活は楽しいかい?」
「楽しいし、面白いよ」
「元の世界に帰りたくない?」
「……そうだね。母さんと父さんに会いたいってたまに思うけど……、おれはもう死んでいるし、って考えるとふっきれる。死んでなかったら違うだろうね、向こうもこっちも」
「……ほら、できた」
「変な感じ」
「動くか試してみな」
「……!」
「問題ないね」
「……ありがとう」
「よーし」
「いやちょっとどうしてベルトを外しているのかな」
「えー……。たっちゃったんだけど……。どーしたらいいのこれ」
「腕縫いつけたら立つの?どうなってんだ……」
「どーしよ」
「抜けば……」
「ここで?」
「馬鹿!帰ってから!」
「もっこりさせながら帰るのかよ」
「飛べんだろ」
「飛べるけどさー、途中で知り合いの鳥人とかに会っちゃったらって思うと」
「いんの」
「え」
「……居ないわ……」
「ほら」
「友達かー、昔は作ったけど……、すぐ死んじゃうからね」
「悪魔って死なないんだっけ」
「老化はしないし、ちょっとくらいの怪我じゃ死なないよ。内臓の一つ二つくらいなくなっても大丈夫」
「へー」
「ま、この体のおかげで沢山やれるんだから幸せさ」
「またそっちに持ってく?」
「一応色欲の悪魔なんで……はい……」
「すぐたつの」
「ちょっとした反動で」
「そりゃ大変だ」
「うん……」
「じゃ、おやすみ」
「えっ!?」
「今度来るなら昼にね」
「うん……」

(結構いい奴……なのかなあ)


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