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Uターン
きらきら星
昔はここでも沢山の星が見れたのよと彼女は言う。
街から遠く離れたこの場所でも、ピカピカ煌めく人工の星はまぶしくて。
昔はとても空気がおいしかったのよと、彼女は言う。
どよんとしたガスだらけの空気に、むせかえりそうになる。おいしい空気ではないけれど、肺に数回押し込めば慣れてしまう。
空が落っこちてきたような世界。本物の空に残されたのは月とかすかに見える小さな星。見えないだけで、きっと沢山の星があるのだろうけど。
「 あ あ」

いつの間にか彼女は消えていた。ぼくは後から知ったのだけど、彼女はここを死に場所にしようと思っていたらしい。
そして、彼女の家族は、この高く高く伸びている摩天楼の下に居る事。すぐそばに行って、花を置いて行けない事を、よく嘆いていた。
それから数年後、輝く摩天楼は荒れ地に変わった。




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あきゅろす。
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