Uターン グレイとぼく 「む」 「?」 「なんだ、お前か」 「なんだってそんな……」 「用は」 「や、何してんのかなって」 「見たら分かんだろ、銃の手入れだよ」 「う、うん。そうだね」 「まだあんのか」 「暇潰しに話でもしない?あんまり話した事ないから」 「はぁ?」 「え、おれなんか変な事言った?」 「お前に話す事もねーし、お前の話を聞く暇なんてねーよ。んなにおしゃべりしてえなら、引きこもりがいんだろうが」 「今、ケチャップは実験中でさ。新しい生き物だって、中に入れてもらえないんだ」 「あ、そ。下の青ダルマは」 「レインは今昼寝の時間だよ。あとのみんなは出掛けてるんだ」 「ウサギは居るだろ」 「マチは充電中」 「……」 「ねえ、なんでそんなにおれを避けるわけ」 「別に避けちゃいねーよ。嫌いなだけだ」 「じゃあどうして嫌いなの」 「嫌いなヤツは嫌いなんだよ」 「えー……」 「分かったらさっさとどっか行け、目障りだ」 「じゃあ、むしろ、そばに居ようと思う」 「嫌がらせかよ」 「いやちょっと話したら少しでも好きになってもらえるかなって。何にもしてないのに嫌われてるなんてさー。まだわからないじゃない」 「なんかお前の雰囲気が嫌なんだよ、分かる?いかにもいい人みたいなさァ」 「わかんね」 「あっそ」 「隣座っていい」 「いいって言うと思って聞いてんのか」 「じゃあ勝手に座る」 「………」 「今日は何の用なのさ」 「アッシュが昨日此処に泊まるって言ってたから迎えに来たんだよ。そうだ、アッシュはどこ行ったか知ってるか」 「アッシュ?……アシュレイ?」 「そう」 「へー」 「なんだよ」 「いや。君は男、女?男みたいだけど声がなんだか高いし仕草が少し女みたいだ」 「きっもちわり、それと何が関係あんだよ。だからゾンビは嫌なんだ、性欲しかねーのかおめえら」 「女かー」 「うぜえ、頭ぶっ飛ばされてえのか」 「待って待って、アシュレイってさ、男には本名言わないんだ、絶対」 「……あー……」 「?」 「アッシュと付き合ったばかりの頃、アシュレイって名前しか知らなかった」 「やっぱりね」 「お前は何で知ってんだ」 「ケチャップはアッシュって言うからね」 「なるほどな」 「いいと思うよ、君たち、お似合いだよ。結婚もできるし。アシュレイが女の子に興味があるなんて、知らなかったな」 「女は人生でオレが初めてだっつってた」「へー。男みたいだけど、それはアシュレイに言われて始めたのかい」 「もともとさ。オレはアッシュが女だと思ってたし、アッシュはオレを男だと思っていたらしい」 「そりゃあおもしろいな」 「で、アッシュは」 「ケチャップと久しぶりに実験するんだって、必要なもの買いに行った。広場に居るんじゃないかな。ここで待ってればそのうち帰ってくるよ」 「そうか」 「中に入ったら。寒くない?」 「いいよ、寒いんならお前一人で入ればいいじゃないか」 「寒いのか寒くないのか」 「………」 「暖房ついてるよ。もうこれ、雪降ってもおかしくないぜ。そんなうっすい服じゃ寒いだろ?」 「うっせえな、いいっつんてんだろ」 「そんなにツンツンしなくても」 「……あ!」 「グレイ?」 「おかえり」 「おかえり!」 「グレイ、来てたの」 「迎えに来たんだけど、出かけたってコイツが言ってたから待ってたんだ」 「ほんと。申し訳ないね。マイケルはその間相手をしてくれてたのかい?」 「まあね」 「お前は黙ってろよ。中は暖かいんだってよ。風邪をひいたらまずい。早く行こうぜ」 「マイケルごめんね、グレイはちょっと難しい子でさ」 「いい、いい。知ってるよ。すぐ分かった。ケチャップ部屋までの道分かる?連れて行こうか」 「じゃあ、お願い」 (なんだかなあ) ←→ [戻る] |