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Uターン
飢えた獣の血筋

そう、それからどうしてだか不安な平和が続き、三年の月日が流れた。その日常の変化は突然で、今まで忘れ切っていた災いの種がとうとう芽を出したのである。

日曜日、珍しく暇だった俺はアイヴィーと一緒に買い物へ出かけた。久しぶりの外出はずいぶん楽しく、アイヴィーもなかなか楽しんでくれているようだった。もう帰ろうとアイヴィーに声をかけようとすると、太陽が一層眩しく輝く。
「あれは……」
まるで流星のように輝き燃えあがりながら落下してきたのは、金色の竜だ。素早く飛び上がり、なんとか下敷きにはならずに済む。
その金の竜を、続いて降りてきた天使たちが囲んでいる。あの竜は……、悪魔? 再び悪魔狩りが行われようとしているのか? それは絶対に許されないことだ。倫太郎さんが指導者になった今、天使と悪魔は友好的に接している……、一応、表面上は。
何千年もいがみ合い傷つけあったのだ、たった三年で仲良しこよしなんてできるわけがないと知っているが、こういった一方的な『悪魔狩り』『天使狩り』は禁止され、行った場合は即、死刑になるほどの重罪だ。
「俺はグレイ・ブロウズの息子チャコール・グレイ・ブロウズ! そいつから離れろ! 今なら見逃してやるっ!」
竜を囲んだ天使たちに呼びかけるが、天使たちは互いの顔を見合わせている。
「あのお……、すいません。これ、天使なんです。これの保護がぼくらの仕事でですね……」
……確かに、においを嗅いでみれば悪魔の出す魔法臭とはちがう。天使であるらしい化身した金色の竜は、気を失っているはずなのに化身が解けないことから、魔力をたくさん持っていることがわかる。
金色の竜というと心当たりがあるが、記憶にあるそれよりずっと小さくて華奢だった。倫太郎さんが子どもをこさえたなんて話は聞かないし。
「すまないな。ならいいんだ、それをサッサと持ってってくれ。皆、驚いているから」
……そう、落下地点はショッピングモールのど真ん中、ちょうど噴水に。幸い死人はいないが、どうやら怪我人が数人いる。魔力を纏った破片の可能性はあるし、大事をとって救急車を呼んだほうがいいな。
「……みなさん! みなさん! 落ち着いて! 僕は中央署のND異能班のチャコ・ブロウズです。どんなにかすり傷でも怪我した人は手を上げて、救急車呼びますからね」
ポケットからいつも持ち歩いている警察手帳を出すと、不安そうにしていた人たちは安心した表情を見せる。
……そう、俺は今NDにいる……。

およそ二年、魔界で戦いの稽古をつけてもらい、力がどんどんついてきた。同じ年のころの母さんと同じか、それ以上だって言われたくらいに。
悪魔の強さは四つのランクに分けられる。一番上はSクラス、その次はAで次はB、一番下はCだ。
半分以上の悪魔がCランクに分けられている。普通より優れているものを記録しておいて、いざって時にすぐに集められるようにする、……てのがそもそものはじまりなんだそうだけどね。
若いころ、警察官をしていたころの母さんはAランク。母さんのような若い悪魔でAランクってのはかなり珍しく、そして今の俺もなんとかAランクまでこぎつけた。
ランク上げっていうのはいわゆる国家試験みたいなもので(ほとんど実技だけど)、自分の得意な科目から受けられる。呪いとか、治療とか。俺はもっぱらそういうのは苦手で、単純な組手で受けたんだけど、この内容がまたおかしかった。
半日のあいだ、一秒も休み無しで屈強な男たちを相手にして一度も床に背中をつけないってもの。
……まあ、そうでもしない限りは、軍の上層部や警察なんかに入れないってのは、逆に安心感あるけど。
ランクには特典があって、Bランクからは自由に地上へ行くことができ、Aランクはさっきの通り……、危険であるけれど、誇れるような仕事につくことができる。
Aランクになった時母さんは大層喜んで、どこに配属しようか、希望を聞こうなんて話をしてきたけれど、俺は地上に行きたい……、と言った。
……ずっと、地上に戻りたかった。NDに復帰していた母さんのコネを使い、中央署のNDにやってきたのは一年前の話だ。もう昔の自分とは違う……、背だっていくつか伸びたし、筋肉もついた。ちょっとは男らしくなったと思う。自信も前よりはずいぶん大きい。
アイヴィーも苦労はしたが半年前に試験を受け、Aランク悪魔になると俺のうちにやってきた。彼女はNDには勤めていないが……、家事を任せることができるし、いざって時は頼れる戦力になる。
もちろん休みはあまりないし、体力使う仕事だから大変だけれど、今の生活には十分満足している。兄妹だから当たり前、だと必死の言い訳をしてアイヴィーと一緒に住めるし、母さんが勤めていた中央署に行くことができた。
中央署は母さんが居たころからたくさんの功績を残しており、そしてこのあたりのNDの脳みそ、心臓部分でもある一番規模が大きく、それに実力者やエリートの集まる場所だ。
……もちろん母さんが俺を中央署にって言ってくれたのもあるけど、試験と面接を受けて採用されたのは俺だもの。そこに嘘なんてない。

救急車を待つ間何度か天使たちに竜のことを聞いたが、マトモに取り合ってくれなかった。よっぽどの秘密なのか……。
竜を連れた天使が去り、救急車がやってきて軽く話をし、のんびりとした日常に戻る。
「……なーんか、嫌な予感がするな……」
アイヴィーがぼそりと漏らした一言に、心の中で同意した。この出来事が何かのトリガーになって、悪いことがたくさん起きる……。そう考えることしかできなかった。


自宅の小さなアパートに帰ると、趣味の悪いおどろおどろしい飾りの扉がひとつ、宙に浮いている。そのすぐそば、居間のテーブルには母さんと親父が居て、勝手にひとんちのコーラを開けたりお菓子やケーキを広げたりしていた。
「ちょっと! 来るなら連絡してくれよな」
まるで自分の家みたいにリラックスして、親父なんてビデオ屋でDVDを借りてきてるし、そばにはちょっと遊びに来たようには思えないほどの大荷物。……泊まるのか?
「だってさあ〜、チャコー、勝手に携帯変えるんだもん。番号教えてくれないなら連絡しようないじゃない?」
「親父さ、心配なのはわかるけど、毎日毎日メールと電話って、俺もうこどもじゃないからさ」
「アイヴィーちゃんには連絡入れといたと思うけどな」
じろりとアイヴィーに視線がうつる。
「すまん。あまりにうざいんで、メールの受信拒否をしてんだ」
「ひっ、ひどいよー! そんなに二人ともおとーさんのことが嫌いなの? お葬式こなくていいから!」
わざとらしく腕を組んで怒る親父を、笑いながら母さんがなだめた。
「私が連絡すべきだったな。なんだ、思いのほか、いい感じに仲良くやってるようじゃないか。喧嘩してないか子どもでもこさえてないか不安だったが……、いらん心配だったな」
買ってきた食べ物や服、アイヴィーが選んだ謎の雑貨(何に使うのだろう)、CD……、とにかくいろいろを片付けていく。
「……多分一生大丈夫だよ、そのへんは。仲はいいけどそういう仲じゃないからさ」
「どうだか」
「で、どうして来たわけ?」
ちらっとアイヴィーのほうを見ると、親父と一緒に謎の置物の配置を考えてるようだ。なんか……、動物の形してるってのはわかるけど、奇抜な色使いで何の動物だかイマイチわからない。
「ついさっき……、世界の壁を無理やり突き破って、一匹の竜がこちらに落ちたそうだな」
竜? っていうと……。
「金色の? それなら俺、見たよ」
「そうか。で、問題はここからだ。……その竜はまだ小さいんで壁に小さな穴しか空いていないが、いずれ大きくなる。無理やり大きなものが入ってこようとしたら、大きくなるしかない。その前に私らが入り、その中の化け物を殺すなり閉じ込めるなりしたい」
「は、はあ。でもそんな穴って……、無事にこっちに帰って来れるの?」
「もちろん、『草』を行かせた。向こうには問題なく行くことができるし、ざっとした様子もわかっている」
「俺さ、明日から仕事なんだけれど」
「それも、問題ない。私のほうから直接、とりあえず一週間特別休暇を出してある」
……用意周到なことで。キッチンで食べ物や飲み物を冷蔵庫や棚に仕舞いながら。なんだか、親子みたいだ。
「その化け物って?」
「セオドア」
その言葉を聞いて、凍りついた。指先が震えてくる。ゆっくり背中を壁につけ、ずるずるとしゃがみこんだ。名前だけで吐き気がする、悪意をそのまま人の形にしたような。
「あ、あいつが」
「ああ。あの件は倫太郎に任せていたんだが、うまくはいかんかったようだな。なあに、まだ取り返しはつくさ。ベルベットさんの話によればうちんとこの一族がまた踏ん張れば大丈夫だそうだ」
「……」
冷や汗が背中を冷やす。吐き出す息は小刻みだ。動悸がひどい。目を見開いて、それを見られないよう顔を隠した。
「おまえら二人には、出てもらわんと……」
嫌だ……、あんな目に再びあうなら死んだほうがいい。自尊心を踏みにじり笑う顔を見たくない。
「……いつから?」
「明日は準備期間にするんで、明後日から突入することにする。ここには一通りの武器と食料を置いておき、アッシュに管理してもらうことにする。私らの指揮下にあるのはこの四人だけだ……」
「そんな、相手はあいつなんだろ? 四人だけで勝てるの?」
「何度も言ったが、私は二人で勝った。……がしかし、たくさんの人たちの協力があってのことだ、正式には二人とは言えん。悪魔の軍はほとんどが空いた穴へ行けない、空にあるからな。倫太郎のほうで志願兵を募り、数百の隊を貸してくれるそうだ。たった一人相手にやりすぎだとは思うのだが、ありがたいことには変わりない」
……もちろん、全く自信がないわけじゃない。この三年、俺は母さんやニルスおじさん、リリィさんに見てもらってぐんぐん強くなり、Aランクにまでなったんだ。今日まで毎日のランニングや筋トレは欠かさなかった。し、同年代の子にも年上の悪魔にも、試合で何度も勝ってきた。
三年前は弱かったし自信もなかったけど、今は母さんの息子にふさわしい息子にかなり近づけたと思っている。
でも、それでも、あの男にかなうなんて思えなかった。実力が勝っていたとしても、あれを思い出せばきっと動けなくなるだろう。それを母さんたちに言うことはできないし忘れることも絶対にダメだ。断れない。
「チャコ! アイス」
アイヴィーの声で現実に戻る。アイスを冷凍庫に入れてなかったんだ。サッサとしまって居間に戻ってきた。テーブルは客のことも考えてちょうど四人座れるようにはしてあるが、少し窮屈だ。皆が座り、なんだか懐かしい気分。
母さんが揃ったのが四年前のクリスマスだったかな? そしてアイヴィーがやってきたのは三年前だ。ずいぶん、家族が揃うのに時間がかかったな。俺と親父はずっと待っていたのに。
意外なことに、こうして地上で家族が集まるのはこれが初めてだった。母さんはもちろん地上ではNDのトップ、魔界でも悪魔のトップだ。親父は最近地上には帰らず、魔界で母さんの……、お茶汲み係をしたり、ヒルデガードさん(ライラのおばあさんだ。ヒルデガードさんの薬には今もお世話になっている)の手伝い、呪いの先生に呼ばれたりとなかなか多忙だったようだし。
俺も中央署のNDは最低限の休みしかもらえないし、……アイヴィーは家事と……、俺がいない間は何をしてるんだろう?
特に何かを集めたり作ったりすることもないし、外に出て友達を作って遊びにいったりする性格には思えないし。俺が手伝いを頼む時はいつもすぐ連絡がとれるしな。悪いことしてないだろうし、個人的なことに突っ込むことはしないけどさ。兄妹であるけれど、その前に他人だ。
「倫太郎さんとライラはどうしているの?」
二人とも、天界に行ってしまったから三年は会ってない。
「倫太郎は明日にでも会えるぞ。ライラは知らんが。まあしかし……、あれのことだ、ついてくるに違いない。あと来るので有名どこはレッドフィールド兄妹、アシュダウンの一人息子、くらいか。レッドフィールドは当然だが、アシュダウンは没落したんで必死なんだな。まだ若いのに幼い弟妹引き連れて」
「……なんか、ずいぶん話が早いね? あの竜が落ちてきたのはついさっき、三時間前だ」
「あの竜の出どころがすぐわかったんでな。緊急事態だ、すぐに連絡よこして迷うことなくポンポンと決めたよ。編成チームはすぐに集まれる兵を集め、そこからさらに希望者を探して本当に一瞬で決まった。結果に残るかはわからんが、かなり役に立つとは思う」
「よく行きたいなんて思うよ」
「若い天使の中にはセオドアを見たことがない天使もいるんで、それが見たいがために志願した者も多そうだ」
「……」
まずいまずい、昔のネガティブに戻ってる。やるって決めたんだ、やらなきゃ。アイヴィーと親父はのんきに他の話をしてる。
「ファミリーネーム同じだけど、見た目がずいぶん違うんで、兄妹扱いされることはないな。夫婦扱いだ」
「お父さんは子どもさえ作らなかったらべつにいいと思うんだけどね。……うーんでも孫の顔は見たいし……」
「そもそも孫ができるよーなことをしねーからな、あたしら」
「え、そうなの?」
いきなり俺に視線がいって、ちょっとびっくり。……うん、確かに孫ができるよーなことは全然してない。
「う、うん。しないよ。できたら困るから」
「あたしがしっかりしねーと、でもどうなるかはわかんねーし。はじめっからしなけりゃいい」
母さんも意外だ! って目で言ってるみたい。この人ら、俺たちをそういう目で見てたわけ。いや、そんなに違わないけどさ。
「はああ、健全だなあ。お父さんがチャコでもアイヴィーちゃんでも、すぐ襲っちゃうだろうね。ガオー! て」
わざと唇をめくりあげて吠えるが、ぜんっぜん怖くない。
「親父にできるの?」
「お父さん、夜は獣だからっさ。アイヴィーちゃんのことはじめ見た時、マジにどっかで作っちゃったか心配したもの。いやね、もちろん結婚してからはないけどね、若い頃は遊びまわってたからなあ」
なんか……、結構その話は気になるな。ニルスおじさんやリリィさんからいくつかは聞いていたけど。
「何度こいつに毒盛られたか……」
「普通の女の子ならなんにもしなくてもいいけど、グレイちゃんはぼくなんて簡単に蹴っ飛ばしちゃうからさあ」
「ちゃん呼びはやめろ」
「ごめんってー」
いつまでも仲良しでなにより。そうね、子ども……。いつか必要になるだろう、母さんや親父だっていつまでも元気なわけじゃないし、もう少しすれば現役を退いて若い悪魔にものを教えていかなきゃならない。
そうしたら俺が母さんの後を継がなきゃいけなくなるし、子どもを作って俺の跡継ぎをさせ、母さんたちを安心させなきゃ。
しかし、こうなっては他の女性とお付き合いするってのは不可能と言っていい。アイヴィーはとても嫉妬深くて、ちょっと俺が他の女の子と話しただけ……、それも挨拶程度だったのにしばらく無視したり俺の体にナイフで傷をつけたりした。
再生力は他に負けないってレベルであるんでちょっとやそっと切られだってどうってことないが、傷跡はもちろん残るわけで。訓練やNDでの仕事でできた傷も合わさり、他人には見せられないような体になってしまった。……それを狙っていたんだろうな。
欠点はそれと、乱暴なこと、言葉遣いが汚いこと、わがままなこと……、数えればきりがない。でも、それでも俺がこうしているのはやっぱり居心地がいいからだろうし……、隠し事とか、しなくたってもいいし。家事はしっかりするし、料理だってうまい。アイヴィーが来てからぐちゃぐちゃだった部屋は、もうほこりのひとつも見当たらない。
遊び回ることも、趣味であり得ないほどお金を使ったりしないし、俺の趣味には文句言わないし……。なんというか、俺の飼い方を知っているって感じだ。
たとえばすごく魅力的な女性がいたとして、性格もスタイルも完璧だったとしても、きっと俺はその女性のところへは行かないだろう。この世のすべての女性ができないことをアイヴィーはたくさんすることができるし、俺はそれから離れることはできない。絶対に。
「まあ、孫はもう少し待ってよ」
「うーん。でも、どうする? チャコかアイヴィーちゃんか……、どっちかが誰かと子どもつくんないといけないわけだけどさ。やっぱりアイヴィーちゃんはお父さんのほうが濃く出てるし、体の負担的にもチャコが子ども作るほうがいいとおもうね」
やっぱり、その話を聞いてアイヴィーは不機嫌だ。
「無理さ、こいつには。女と寝るなんてできねー、お子様だもんな」
「お、俺だってやるときゃやるよ!」
「やんなくていいーッ!」
同じように歯をむきだして怒るアイヴィーは親父とそっくりだった。少し静かになったところで、母さんが切り出す。
「そう、そうだ。大丈夫だとは思うが、万が一に備えておまえの精子をとっておけ。置いとけばおまえが死んでもおまえの跡継ぎがつくれる」
そう言いながら渡されたのは、紺色の箱。開けろと言われて開けてみると、透明な小瓶がはいっていた。開けた瞬間指先が冷たくなって、一瞬でひんやりとした空気が部屋を包む。
「この箱はな、氷の魔法が閉じ込めてあって……、50年くらいはずっと冷やしていられる。とったらすぐにここに入れて、私かアッシュに渡すように」
……?
意味はわかるけど、意味がわからない! え、この人なんてさっき言ったのかな? ほかの二人もべつに気にする様子はない。
「あ、あのおー、どういうことですかね?」
「おまえの精子をここに入れろというんだ。三回目は言わんぞ。明日の夕方までに私かアッシュに渡すように」
「な、なぜ……」
「おまえがさっさと子どもを作らんからだろうが。私がおまえのころはもうおまえがいたぞ。まだちーさかったが……」
……こ、この様子だと今日はうちに泊まるんだろうな、ふたりは。……う、うーん。アイヴィーとは違ってこの二人には遠慮とかプライバシーって言葉を知らないに等しい。親父はもちろんだけど、母さんは最近知ったのだが……。どうしようかな。
「いやあ、久しぶりに見たけど、またちょっと背伸びた? ちょっと前まではこーんな、ちっちゃかったのにねえ」
うん、ちょっと前までは親父と同じか……、いや、低かったな。それくらい。親父が166とか7だから、俺はそれよりちょっと小さかったけど、今じゃ母さんと同じくらいまで伸びた。NDに入った時の測定で170だったから、今は172とかかな? 背が小さいことがずっとコンプレックスで、まあ、今も小柄なほうだけど。『ふつう』の領域には達したんじゃないかな。前なんて、アイヴィーよりも小さかったもんね。
「……そ、そうかな?」
「そろそろ、おしゃべりはやめよう。荷物を運んだりそろそろ倫太郎に連絡しなきゃならん。やることがいっぱいあるぞ」
勝手に食べられたお菓子のゴミを片付けると、大好きなキャドバリーのチョコが母さんの被害にあっていたことに気づいた。




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