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Uターン
子どもでも大人でもないの

泣きながら俺に飛びついて、骨ばった手で俺を抱きしめた。血の匂いがつんと鼻をつく。爪が背中に食い込んで、シャツを引き裂くほどの力で。
「ラ、ライラ……」
「生きてるあいだに一度だけでいい、僕を抱いてよ」
どうしたらいい? ライラはそれで満足するのなら。情が、常識をぶち壊していく。ライラの姿はいままでよりもどこかいじらしく、そして息子のような意味で、かわいらしい。
「だめだよ、それは……」
「子どもができるわけじゃない」
「そういう問題じゃないのはわかっているくせに」
賢い子だ、こんなことくらい頭できちんと理解はしているはず。理性でなんともならない気持ちが存在することも、お互い理解できていた。
俺の履いているジーンズを弄ろうとするライラを跳ね除ける。
「いい加減に」
すかさずちょっと背伸びして耳たぶにかぶりつき、赤んぼうみたいに吸われると全身の力が抜けて体温が高くなった、きが、する。俺だってそりゃあ天使だし、親があれなんだ、性欲は並じゃない。ちょっとスイッチ押されたらこうなるって、一緒に暮らしてしたからなのか、それとも血筋なのか。
「ライラ、これ以上はほんとに、だめ、だから」
「……」
「ひぁっ!」
強く噛みつかれた瞬間電流が走ったかのように快感がからだを巡る。腰が抜けて、ベッドに倒れ込んだ。
「やめて、ライラ、おねがい、……おねがいだから。ここじゃだめだ」
「ここじゃなかったらいい?」
「そりゃ、これくらいなら……、構わないけど……」
これくらいですむものなのかは疑問。耳の中に息がかかって、またぞわぞわする。
「どうせ見られてもどうも思わないし、おばあちゃんずっと下に居るから大丈夫」
上にのしかかられて、また耳を吸われる。ずっしり重くて、成長を感じられた。……て、これ、とんでもない変態じゃないか。急に我にかえって押しのけようとするが、力がうまく入らないし肺を圧迫されてるせいもあって呼吸がうまくできない。
耳をいじられながら口の中に舌を入れてきて酸欠になるかと思った。長い舌が俺の舌をからめ取るように、喉の奥をなめる。股のあいだを服の上からひっかかれて、背中がひやりとした。
「おじさん、すき、すき」
ライラはもう完全にその気らしくて、俺もその勢いに流されそう。でもこの場合、俺が下に居るから俺が女役ってこと? ……昔のこと思い出して嫌になってきた。
ライラは寝巻きらしいスウェットと下着を脱いで、力が抜けてろくに動けない俺のジーンズのベルトをゆるめふともものあたりまでずらすと、そのままゆっくり座り込む。
「ぁ、あ、ひぁ、っは」
最初からこのつもりで、俺が行くと連絡した時から準備していたのだろう、耳を散々いじくられたせいで勃ってしまってて、びっくりするくらいスムーズにはいっていく。
「おじさあん」
「だめ、だめだ」
口答えしようとすると、腰を動かしながら再び耳を吸われる。びくりと体が跳ね上がり、耳元と両方の粘っこい湿った音に鼓膜が犯されていた。ふーふーと満足げに鼻で息をしている。
「やめなさ、……! ライ……、ラ……」
「やだぁっ……。あ、あぅ、やだ……」
耳から口を離して、じっと俺の顔を見ながら。普段感情を露わにしないライラは珍しく顔が真っ赤で、目なんかとろんとしていかにも幸せですって顔。
「っは、っ、おじさん、ごめん、なさ、ぁ、あ」
きゅうっと目をしぼって体を引きつらせると、ばたりと俺の上に倒れてまた抱き合う形になる。
「おじさん、おじさん」
発情期のネコみたいに騒ぎながら夢中で腰を振り、そこらじゅうをなめる。ほんと、こんな経験なくってどうしてたらいいかわからない。ただ息苦しくて呼吸のため腹を必死で上下するだけ。
「ぼく死にたくない……、死にたくないよお……」
すすり泣く声、肉と肉がぶつかりあう音、臓物を貪り食うようなぐちゃぐちゃという水音。唇と舌を吸って、びくびく痙攣した。
「っひぅ、あ、あ、あぁっ」
そのうちライラは果てて、俺も耳をしつこく噛まれてたまらず出した。……え、え、どうしよう。とんでもないことしてしまった。
ぴったり繋がったまま、ライラは俺の体の上に体を預けていた。
「たまってたんでしょう」
「どこでこんなこと、覚えたの……」
「知らないところで、子どもって、勉強してるものだよ。僕もね、耳弱いんだけど。おじさんヤバいよ」
そういうムードじゃなくても、誰かに耳を触られたらぞわぞわするのってやっぱり普通じゃないのか。
「おじさん今彼女いないの?」
「……え。うん、まあ……」
「前のジュリアさんってすごい女らしくて家事も完璧でご飯もおいしくて、性格もきつくないし綺麗でおじさんにぴったりだったのにね」
二年ほど前に交際していた、ジュリア・マクレガー。赤毛の美人で、ほんとうに、俺にはもったいないくらいの美人だった。一度結婚したが、ドメスティック・バイオレンスに耐えられず逃げてきたという。俺によく尽くしてくれて同居までしたけど、結局俺のほうから別れを切り出してしまった。
「そうだね。元気かな」
「ずっと気になってたんだけど、どうして? 嫌いになった?」
ジュリアのことは、好きだった。しっかりしてて、ちょっとぼんやりした俺の世話を焼くのが大好きだって、もちろん性格や容姿も素晴らしい人だったし、有名大学を出て一流企業に勤め、年収は、あまり流行らない探偵事務所をしている俺なんか鼻で笑われるくらい。まさに完璧といった言葉が似合う人で、俺なんかに惚れたのがなぜなのかわからない。
「忘れられない、人がいてね」
ああ、そうだ。あの時出会った時から、グレイさんのことが好きだった。乱暴で、ガサツで言葉使いも悪くって。ほんと、ジュリアとは正反対の人。
「だから結婚しないんだ」
「したいんだけどね。なんか……、だめなんだよ。いざってなると……、思い出しちゃって」
「その人は?」
「もう結婚して、子どもいるよ」
「夫婦仲は」
「あり得ないくらい、いい」
ジュリアと別れた時、はっきりと気づいた。グレイさんがずっと好きだった。どうして? と聞かれると明確な理由は出ないけど、とにかく好きだという気持ちはちゃんとあった。
「ふーん……」
ライラはゆっくりと俺の腹の上からどいた。白くて粘っこい液体がぼとぼととこぼれて俺の腹を濡らす。
やっと緊張が溶けて大きく息を吐くと、いきなり刺すような感覚があって、体がびくびく震え出した。
「あ"あ"あ"あ"っ!」
目を見開いて、口も空く。萎えていたそれもあっという間に元気を取り戻した。ライラのやつ、俺に毒を仕込みやがった。相手が甥っ子だからって気を張ってないせいもあるけど、こんな風にされるなんて、ほんと、なさけない。
よだれを垂らして痙攣した足をバタバタさせていると、両足は捕まえられて上げられる。汗やらなんやら、たくさんの体液を尻の穴に塗りつけられ、ゆびが入ってくるとなにかが崩れた気がした。
ま、まって。これって昔みたいにされちゃうわけ? やだ……、嫌だ!
「や、やめ、っあ"、あ"ぅ!」
まともに抵抗できないまま、どんどん入ってくる指は増える。毒のウロコは耳に刺さっているらしくて、ウロコを抜かれてほっとした瞬間、指は抜かれてライラがはいってきた。
「……っ……」
「おじさんだけずるいからね、僕も」
ああっ、ほんと、こんなおじさんにこんな事して何が楽しいんだ。若い女の子にしたほうが楽しいし、ライラのルックスなら女の子も喜ぶだろうに。
「……あ、ライラは、……彼女、いないのっ」
そう言った瞬間強く突き上げられて、悲鳴を上げた。
「ひぃあ!」
「僕はおじさんが好きだから」
耳ばかりいじくられて腹の中がきゅうと締まる。激しく声をあげたりはしないが、それでもやっぱり気持ちがいいかわりにプライドがズタボロだった。シーツを噛んで、耐えるしかなかった。
「おじさん一生独身だね!! 僕うれしい!!」




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