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Uターン
アッシュとロゼ

「これはこれは、機嫌はどうかな? オオカミプリンセス」
「アンタ嫌いよ」
「でも僕は好きだよ……。そういう意味じゃなく、単純にきみに興味があるんだ」
「アンタの声聞いてると頭おかしくなりそーだわ」
「ありがとう」
「褒めてないわよ」
「師匠の呪いはこれだけ経っても力を失わないのか。本当にすごいな、あの人は」
「……アンタ、この呪いかけた奴、知ってるの!?」
「知ってるも何も、僕の師匠さ」
「会いたいわ」
「無理だよ。あの師匠は……、かわいいかわいい弟子がうちに訪ねてもベッドから出やしないんだ、見ず知らずの……、しかもオオカミに会うとは思えないね」
「じゃあこの呪いをとくことはできる?」
「そうだね……、僕は呪い専門なんで、仕組みがわからなくはないが……。これ解いたら、きみは何になるんだろうな」
「……そりゃあ……、人間でしょ」
「人間になったら、悪魔にとっつかまってゾンビにされちゃうよ。オオカミにはなりたくないだろ?」
「……」
「解かないのがきみと、きみの仲間たちにとって一番いいのさ。どーしても戻りたいなら戻してやってもいい。僕が保護してあげよう」
「そしたらあたしの仲間は……」
「そうだね。そうかもしれない。でも砂漠の向こうに暮らしてるんだろ?」
「あそこで……、暮らせるのは狩りができるから。狩りができなくなったら、あたしたちはあそこで暮らしていけない」
「諦めるんだね」
「……できないってわかってても、アンタの師匠に会いたいわ」
「どうして?」
「恨みのひとつくらい言ってやってもいいでしょ。アンタのせいであたしたちはあんなところでひっそり暮らしていかなきゃならなかった」
「なら僕に言うといい。手紙でもしたためるさ」
「意味がないわ、あたし、顔を見て言いたいのよ」
「一生無理だよ」
「……あたし、どうしたらいいのかしら。これであたしがここにいる理由はなくなったわ」
「ん、どうしてここに来たんだっけ?」
「呪いを解くために、強い魔女を探していたのよ。あのケチャップの元に居たら強い魔女や悪魔にたくさん出会えると思ってね、今までいい子ちゃんしてきたけど」
「砂漠に帰る前に、僕の所へきなよ」
「嫌よ、変態くさい」
「師匠の呪いをこれだけじっくり見られる機会はそうそうないからね」
「そーんなこと言って、アンタの恋人が焼くわよ……」
「それはどうかな? そんなに熱狂的なヒトには見えないけどね」
「アンタと喧嘩するたびここへ駆け込んでる。あんなナリして、乙女なのねえ……」
「そうなんだ……、また好きになっちゃった。焼かせたいな」
「早死にしそうね」
「そう? 僕、きみの五倍は生きてると思うけど」




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