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Uターン
アイとロゼ

「ああーっ!」
「なーによ、人の顔見て叫ぶなんて酷い子!」
「……」
「あーもー、泣かないで、ごめんごめんったら。で、どーしたの?」
「ぁ、あぅ、ねずみさん……」
「ねずみさん?」
「アイのねずみさんが……」
「あー、なんか飼ってたわね。それがどーしたの?」
「にげちゃ、て。お、おねーちゃんが、たべちゃ、た……、のかと……」
「あたし、ねずみなんてしみったれたモン食べないわよ!」
「っ……」
「あー! ごめんごめんったら! ねずみねぇ……。ねずみなんてケチャップに言えばいくらでももらえるでしょ?」
「おこられちゃう……」
「……ま、そーだろーね。あたし、ねずみ探しなんてごめんよ。マイケルにでも頼めばー?」
「いないもん……」
「じゃ、マチ」
「マチちゃん、ぜったいいうじゃん!」
「カルヴィン……も、言うわね。ダニーは……、マイケルとお出かけか……」
「おねーちゃぁん……」
「あー! はいはい! ねずみね! ねずみ探せばいいんでしょ?」
「あ、ありがと……」
「で、その手でさっきまでねずみ触ってたの?」
「うん……」
「手出して」
「ん……」
「……! あっちね」
「すごーい! これだけでわかるの?」
「伊達にオオカミやってないわよ……、ほら、いた」
「ほんとだー!」
「ストップ! ねずみとは言え、子供に捕まるほどマヌケじゃあないわ。あたしが捕まえたげる」
「うん!」

「ほーら、捕まえた」
「わあっ! ありがと!」
「もうやんないからね。逃がさないように気をつけるのよ」
「うんっ」
「なーんでまた、ねずみなんて飼ってるの?」
「かわいいから……」
「そーお? あたしはこんな腹の足しにもならないのより、ウサギとかのがおいしいしかわいいと思うけど」
「……ダニーたべるの?」
「あれはねえ、筋肉ばっかだし肉食うからおいしくないわよー。ま、酒飲んでるからそれはそれでおいしくなりそーだけど」
「たいへん! だれかにいわなきゃ!」
「もー! 冗談よ冗談!」
「じょーだん?」
「そう、じょーだん」
「なにそれ?」
「はあ……、だから子どもって嫌なのよね……」
「アイのこと、……きらい?」
「こういうとことかね……」




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あきゅろす。
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