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Uターン
腹の中の他人とキッス

だめだ、どういうことなのか全然わからないよ。アイちゃんが大きくなってここにいるのはどうして?
「びっくりしたかい」
ああ、まさか、まさかね。顔はわからないけど、嫌になるくらい纏っている空気が似てる。
「あれは僕の娘だよ。かわいいだろ? 女の子どもは、父を裏切ることができない」
……。
「育てかたにもよるのだけどね。もうあの馬鹿息子のような失敗はするものかよ」
たしかセオドアの息子は倫太郎さんだ。……確かに、言われてみれば倫太郎さんとアイちゃんは似てる。目の色こそ違うものの、アイちゃんの髪は輝く金色。体系も背は小さいが、手足が長くてスレンダーだ。
……いやでも、アイちゃんは俺をここに呼び出したのには何か意味があるはずだ。暗い表情でセオドアを見つめていたアイちゃん。……きっとアイちゃんはセオドアから自分を助けてくれる人を探していたんだ。俺、アイヴィー、河川敷に居た悪魔。俺とアイヴィーはこういう所への侵入は大得意だし、河川敷に居た悪魔だって、あの虫になる力があればこんな所に入るのは容易だろうし。
ぼーっとそう考えていると、足の拘束が外れた。ぽかんと自分の足を見つめていると、セオドアが吠える。
「下手に動いてみな、その首をちょん切ってやる」
な、何されても動かず騒がずか。
セオドアは俺のジーンズのベルトを外し、下着と一緒にずり下げた。ああ、ここまではなんとなく予想はしてたからびっくりしない。ただ寒さと羞恥心に震えるだけだ。
「……」
セオドアはおもむろにポケットから何かを取り出した……、黒い油性ペンだ。蓋をあけると、ほぼ裸の俺の体に線を引いていく。
「え、……」
「ここはいらない、ここは欲しいかな。あんまり一度に取るとアイの魔法が効かないからね、ゆっくりねちこく回収してくとしよう」
全身に黒い線が走り回ると、息を吐いて油性ペンを放り投げた。俺の体をまじまじと見つめ、左足を抱き上げると、爬虫類のように鋭い爪が生えた手を肉の中に食い込ませる。
「っ!」
顔をしかめるとセオドアは嬉しそうに笑って、足をひきちぎった。
「ああああ! あ! っあああああああ!!」
血が滝のように流れ出る。セオドアはそれをなめると、俺の傷口に触れた。……あ、倫太郎さんも使ってた魔法。みるみるうちに傷から痛みが消え、新しいピンク色の皮膚で覆われた。肩で息をする。頭がチカチカする。
そんな俺をセオドアは見て、幸せそうに甘い息を吐いた。



「あ……」
両足を上にあげさせられ、性器と尻が露わになっている。尻にはセオドアの指が出入りを繰り返していたが、ついさっき抜かれた。セオドアのよだれで濡れた感触が気持ち悪い。抵抗しても何にもならないとブルブル震えていると、セオドアは尻をいじりながら俺の口に舌を入れるようなキスをした。……俺のファーストキスが……。
そう考えると自然に涙がでてきて、胸のあたりがもやもやして、セオドアの荒い息を聞きながら胃酸を飲み込んでいた。
「っ! ぁ!」
尻にそれがあてがわれる。……やだ! 嫌だ! 体をくねらせ逃げだそうとするが、足はまた切られたし腕は拘束されている芋虫状態の俺じゃあ逃げ出すことは難しかった。
「やめろよ! 嫌だ! それだけはっ!」
「あああ、チャコ、かわいい。きみはかわいい。ずっと僕のそばにいてよ、ああ、チャコ!」
「っぁああうっ!」
ゆっくりと腹の中に太くて大きな異物が入ってくる感覚は生まれてから今まではじめてで、目を大きく見開いて必死で呼吸することを考えた。死ぬと思ったんだ。
「ああっ、チャコ、あったかいよ。かわいい、かわいい」
ゆっくりと腹に差し込んでくるそれはぎちぎちと筋肉をほどいていく。何が苦しいかって、そりゃあ物理的にも痛いし苦しいけど、今のセオドアは親父そっくりの白髪だ。声も低くて掠れたようなハスキーボイスで、まるで親父にレイプされてる気分だった。
「抜け! 抜けよっ! 無理だっ、入らない!」
「そんなこといったってさあ、体は違うみたいだけどね」
俺の意思とは反対に、俺の体はまるで女みたいにそれを飲み込んでゆく。すぐに先から根元まで入り込み、ぴったりと俺とセオドアはくっついた。
「っうう、ぐ……」
腹の中の異物を出したいが、体はうまく動かない。はーはーと犬みたいに息をして、なんとか生きるために呼吸するので必死だった。
ゆっくりと先まで抜いたかと思うと、勢いよく根元まで打ち付ける。皮膚と皮膚がぶつかる音が響き、その時の痛みで頭が吹き飛びそうだった。
「あ! っあ!」
「チャコくんのいいとこってどこかなぁ?」
何かを探るように腹の中を突く。そのたびに汚い喘ぎ声を出しながら、首を横に振った。嫌だと口に出すことすら辛くなってきていた。腹の中で確かにどくどくと血が流れている肉の塊を拒否する手段はもうなかった。
「ねぇ……、きもちいいの? かわいいって言ったらきゅーって閉めてんの、わざと? 女の子みたいだね、きみ」
目を見開いて涙を浮かべている。痛いし気持ち悪いし、気持ちよくなんて全くないのに。
「ちが、ちが、ぅ、っあ、いたいっ」
「かわい、かわい、かわい」
そう言いながら何度も角度を変えて俺の腹の奥にそれを押し付けてくる。セオドアが声を出すそのたびに入り口がきゅうきゅう閉まって、セオドアを離さないようにしてるみたいだった。
「ねえ、チャコ、きみは処女かい? なのにこんな変態みたいな反応してさあ、嘘みたい」
死ぬっ、死ぬっ、死んじゃう。いくら息を吸っても肺に酸素が入ってこない、足りない。そうだ、セオドアの手が俺の首を締めている。死なない程度に力を調整しているんだ、体がかたまってぎゅうぎゅうセオドアを締め付けるのはそのためだ。
「っふぁ!」
ごりりとセオドアが腹の中の何かに触れると、頭の中に電気が走ったような快感が体を刺した。その反応を見てか、セオドアはしつこくそこを責める。
「い、ぁう、あ、あぐっ」
「チャコのいいとこ見つけちゃったぁ。一緒に気持ちよくなろうよ、どーせ中に出したって何にもできやしないんだからさ」
よだれと鼻水と涙で顔はぐちゃぐちゃだった。下半身からもぐちゃぐちゃとねちこい水音が聞こえてくる。セオドアが垂らしたよだれや体液、そして俺の血や腹の中から出る体液がまじっているのだ。
「女だと中に出す楽しみは跳ね上がるけど、子どもできちゃったらセックスできないからね。繰り返し使おうと思うなら男が一番いい、女は犯してすぐ殺すか、手をつけずにペットみたいに飼うにかぎる」
震える俺の体を押さえつけるように抱き寄せ、奥の奥まで。背中が反り返るほど気持ちがよくて、目と口を大きく開いた。だらだらとだらしなく汗や体液を垂らしている。
「……! っ……! は、あ、……」
セオドアが俺の性器をまさぐると、びくりと体は跳ねて達した。痛くて腫れ上がっているのではと思うほど大きく膨れ上がり、白いそれを自分の腹に飛ばした後も収まらなかった。
過呼吸になりつつある俺の体を心配することもなく、セオドアは腰を打ち付け続ける。
「い、ぁう、やだ、嫌だ……! お、お父さんっ、やめ、やめて、おと、さん、おとうさん」
朦朧とする意識は、セオドアを親父と勘違いしてしまう。真っ白な髪と低くて掠れた声は親父そのものだったから。
ほんとに気持ち悪いって言われそうなくらい女みたいに高い声しか出なくなって、体が熱くてしかたなかった。生き物としておかしいことをしているという背徳感がぞわぞわと全身を支配している。
「っふ、……」
ガツリと脳に響いたのではと思うほど奥に挿れられ、腹の中でまた少し膨らんだかと思うとセオドアは息を大きく吐いた。……中に出てる。抵抗できずに受け止めるしかない俺は体を引きつらせ、腰をがくがく震えさせた。だめだ、なんにもわかんない。
そのうち首から腕が外れて、冷たい床に頭を打ちつけた。セオドアは自分の好きに腰を振るのをやめて、再びあのごりりとする場所に擦り付けてくる。
「おと、さ、ぁ、っあ、あぅ、ぁう、ふ、っ、あ! おとう、おとう、ぁ、うぁ」
ここがどうしてか、こすれただけで意識が吹っ飛びそうだった。切られた足を大きく持ち上げられ、壁に押し付けられる。
「……ふー、っふ、ふーっ、ふーっ、ぅ、ぶ、っふ、ふーっ」
コンクリートに前歯が当たって、一瞬で壁はよだれまみれになった。ひたひたと壁に飛ばされた体液が落ち、足元に溜まっていく。
またセオドアが俺の腹の中で果てると、ずるりとそれを抜いた。芯がなくなったみたいに床に崩れ落ち、肩で息をする。
「ああ、今の、グレイちゃんやアッシュに見せてやりたかったなあ」
……は、はじめてのセックスがこんな、男同士で、しかも俺が女役でやることになるなんて。
頭がぼーっとして、なんだか例えるならばだけど、薬をやっているような虚ろな目をしていたと思う。セオドアは俺を引っ張ると、仰向けにしてじろじろと俺の体を見た。
「ねえチャコ、きみはこのまま僕のそばにいるということは考えない?」
「……」
あー、なんてーか、もー、なんにもわかんない。朦朧とした意識、目をあけているだけでせいいっぱいだ。
「嫌だと言ったら、きみはずっとここに、動物みたいに飼われるだけだ。僕と一緒に来て僕の言うことをきくなら、僕は、きみにでき得る限りの最高の暮らしをさせてあげる。あいつらの居場所を吐くか僕に飼われたままか、選びなよ」
一息おいて。
「飼われてもきみは僕に居場所を言うだろう。苦しい思いをするだけさ。どっちがいいかなんてーのは、わかるね」
腹の中からセオドアの吐き出したものがでて来て、ふとともを伝っていく。




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