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廻るびぃだま
不思議なびぃだま

〈オンヤァ、ナンダァ?〉
 影は丸みを帯びた三角と、半月を組合せた形に…細い、腕らしきもの。
〈オンメェ、ナンデェ抜ケ出セタァ?〉
 影の主は橙の体と黄緑の傘のマッシュファング。
「な…なんだ、この魔物は!?」
 ヴェリタが狼狽え、りのは前に立ち盾を構えた。盾で持ち堪え、りのが後ろを向く。
「大丈夫、ヴェリ!?」
 彼女は頷いた。りのは前に向き直った。
「じゃ、今度は手伝えよ!?」
 新しい舞台が…今、始まる。

「せいやっ!」
 りのは地面を殴り付け、その影響で苔蒸した地に亀裂が走る。
〈オォオッ!?〉
 マッシュファングの足元にも亀裂が入り、マッシュファングは足元を食らう。
「踏まなかったか…上手くいかねぇや」
 りのから少し後ろの位置には、ヴェリタが待機している。
「構わぬ…既に計算済みだ!」
 彼女は絵札を空に向け放つ…その瞬間、りのが跳ぶ。
「『夜明けを包むベール』」
 群青のベールがりのの足元に伸び、蝶結びになった。間髪を入れず、蝶結びが蝶の形へ変化する。
「せーの、ハイヤー!」
 その蝶の胴に当たる箇所を踏み、更に上へ跳ぶ。
〈跳ンダァダケデェ、ナンモ変ワラネェ!〉
 マッシュファングの足がりのに当たる。
「残念だが効かないね!」
 りのは右腕を引き、気を溜め込む…すると、光の十字が現れた。
「アンタに土産だ、持ってけ泥棒!」
 右腕が唸り、魔物の身体に窪みを作る…しかし出来たのは笠、魔物にとって痛みなど無い。
〈残念ダッタナァ?〉
 りのの体が再び宙に舞い…ヴェリタに魔物の足が向かう。
(まず‐)
 と思った矢先…彼女が消えた。
「危ないなぁ…大丈夫?」
 バージルがヴェリタを抱え、魔物の後ろへ降り立った。
「え…あ、はい」
 彼はその曖昧な返事に、そっか、と応えた。
「ヴェリタ、ちょっと時間稼ぎ頼むねぇ」
 そう言うと、彼は背丈程の杖を取り出した。
「えーっと…『大いなるリシスは歌う』」
 彼の立つ場所に魔法陣が現れた。
「『ハルシオンの羽ばたき』『シルフの花束』…『魂を示すものに命ず』」
 魔法陣が緑色の光を帯びた。
「『風の掟に於いて裁きを下せ』…『ソードウインド』!!」
 笠の上の空気が、流れを変えた。
 マッシュファングの笠が、真っ二つになった。
〈アァ?〉
 マッシュファング『全体』が、以下略。
〈グ、オァ…アァ!!〉
 叫び声を上げて、マッシュファングは消え失せた。

 りのが戻ってくると、あのマッシュファングが消えていた。
「わ…わり」
 勿論第一声はこれである。見事な放物線を描いてぶっ飛んじまった、情けない人物だ…当然である。
「気にしないでいいよぉ…どうしたのヴェリタ?」
 彼女はフラフラ奥の方に向かう。
「ヴェリ、何処向かうんお前!?」
 りのが焦って腕を掴むが、彼女はそれでも進む。
「此方から花を匂いがする、よう…な?」
 そう言い彼女はまだ進む。
「そんな事有る訳‐…有った」
 目の前に有るのは‐
「凄いねぇ、これ全部『アクアルナ』だよぉ!?」
 青い薔薇の花畑だった。
「さて、持ち帰ろうか」
 りのとバージルはアクアルナの花束を、一束ずつ作る。
「ジャムかぁ…美味しいの?」
 多分ね、とりのが言い、最後の一輪を掴んで三人はその場を離れた。
 茶色の長いツインテールに、桃色の服と紺色のスカートの子供が、青い瓶を持って現れた。
「お待ちどぉ様、アクアルナのジャムでーす」
「有難う、リナ殿」
 少女がリナらしく、ヴェリタに対し、どう致しまして! と応えた。
「あ、そうだ!
 頼みたい事が有るの…これを皇帝さんに届けてほしいの」
 りのはヴェリタを見た。
「悪ぃ、バージル…ヴェリを『青玉の麗技』に連れてってほしいんだ」
 オッケーと言ったバージルに、サンキューと答え、りのは街の西方へ向かった。
 りのはリナがくれた地図を‐
[見辛ぇな、やっぱ]
 とかなんとか愚痴り、皇帝とやらのお宅を目指す。
「まぁ迷ったら‐…行き当たりばったりか!」
 等とふざけた事を言う。
「薔薇がいっぱい咲いてるお屋敷って言ったって‐おやおや?」
 柵に手を掛け中を覗く。
(はっはーん…此処だなぁ?)
〜此処から一部、RPGに変わります〜
 門を探しますか?
(探すだろ!)
 →はい
  いいえ
(えーっと…門、門は…‐有った!)
 りのは門を見付けた!
 門を開けますか?
(呼び鈴無いしなぁ)
 →はい
  いいえ
 りのは門を開けた!
 綺麗な薔薇が咲いている…近付きますか?
(暇無し)
  はい
 →いいえ
「ん? なんだなんだ!?」

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あきゅろす。
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