*short*
旅立ちまであと○日
「おまえ、何している。」
「何って…ただの暇つぶし?」
そうやって、千恵里はニカッと笑った。
短めのオレンジ色の髪はさらさらと揺れ、白のワンピースとの対比が眩しい。
「わー…リリス、眉間に皺寄ってるぞ。」
いつの間にか近くに来ていた千恵里は、リリスの眉間の皺に指を当てる。
それから、何を思ったのかぐにーっとリリスの頬を抓りだした。
「にひひー。変な顔。」
ピキ。
こいつ、殺していいだろうか…と無粋な考えが脳をよぎる。
「いい加減にしろ。」
バッとその両腕を掴み無理矢理放す。
こんなのが、未だに選ばれし神子だというのが信じがたい。
「おーい。チェリー、リリスー。ご飯よぉ!」
カンカンとけたたましい音をフライパンとお玉で響かせながら、トリスは大声で二人を呼びかける。
その音を聞いて、二人は我に返り
「リリス、行こう!」
と千恵里は笑みを浮かべ、先に走り出した。
リリスもその後を追う。
旅立ちまであと○日
(こんな何気ない日常がずっと続くと思ったんだ)
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