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*Special*
第二章
時は過ぎて…レチェーナはすくすくと育ち8歳になりました。

王様もお后様も、レチェーナが何事も無く健やかに育っている事を心から喜んでいました。

レチェーナは、少し長くなった金髪をたなびかせながらお城の階段を上ります。

カッタン、コットン、ギー。

上の方から何か物音が聞こえます。

「何の音かしら?」

カッカッカッ…。
レチェーナの足音が階段に響き渡ります。

カッカッカッ…。

レチェーナが階段を登りきると、少し古い木のドアがありました。

それを、開けてみると…。
そこには、糸車を回している老婆がいました。

『あれは、何なのかしら?』

レチェーナは、初めて糸車を見ます。

それもそのはずです。

レチェーナが産まれた時に、糸車は全て焼き払われたのですから。

「おばあさん、何をしているの?」

レチェーナは老婆に尋ねます。

カッタン、コットン…。

老婆は、糸車を動かす手を止めレチェーナを見ます。
そして、

「糸を紡いでいるんだよ。」

老婆特有の嗄れた声でそう言う。

「糸を…?」

レチェーナは、老婆に近付き糸車を眺める。

「そうだよ。ほらっ、こうやって…。」

老婆は、再び糸車に手を掛ける。

カッタン、コットン、ギー。

「わぁ〜。すご〜い。」

レチェーナは、それを熱心にみつめる。

ふと、老婆は手を止め

「やってみるかい?」

と尋ねる。

「えっ?いいの!?」

レチェーナは、目を輝かせる。

老婆は、それをみてうなずき。

レチェーナを椅子に座らせ糸車の使い方を教え始めた。

レチェーナは、一生懸命に糸を紡ぐ。

すると…プスッ。

紡ぎ糸の針に指が刺さった。

「いたっ………。」

ガタッ……バサリ。

レチェーナは、その場に崩れるように倒れた。

「フフフフフ……アハハハハ。」

それを見て、老婆は狂ったように笑い出した。

そして、被っていたフードを脱ぐ。

その顔は…レチェーナの誕生祭に招待されていなかった魔女であった。

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