*Special*
恋敵と鈍感の組み合わせ
「おい!悠介、千穂。今度、探険ごっこしようぜ!」
短髪の少年、大騎はバンっと備え付けの小さな木のテーブルを叩く。
「大騎…そんなに強く叩くなよ。折角、おじさんが秘密基地作ってくれたのに…。」
悠介は、ずれ下がった眼鏡を押し上げながらそう言う。
そう、この展望台…いや、秘密基地は大騎の父が3人のために作ってくれたのだ。
「わりぃわりぃ。だってよ〜この山のどこかにいるって言う金色の蝶を捕まえたいんだよ!!!」
大騎はそう意気込む。
「…大騎って、いつも突拍子がないなぁ。」
悠介は少し呆れがちに言う。
「でも…面白そうだよね♪」
千穂はにぱっと笑う。
『……かわいい!!!』
大騎と悠介は同時にそう思う。
「どしたの?大ちゃん悠ちゃん?」
千穂は、きょとんとして軽く首を傾げる。
ぼーっとしていた2人は、はっとしてこれまた同時に
『なんでもないよ!(ねぇよ!』
と言う。
「…2人共変なの〜。」
千穂はそんな2人を見てきゃははと笑う。
そんな笑っている千穂を尻目に、大騎と悠介は火花を散らしていた。
そう、大騎と悠介は2人共千穂の事が好きなのだ。
しかし、この事は千穂は全く気付いていない。
今も
「探険だ〜探険〜♪」
と呑気に歌を歌っている。
そんな、千穂を見て2人は溜め息を吐きたくなった。
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