1。
あの後会長さんはとても幸せそうな顔で僕の部屋を出て行った。
“今こんなに幸せだったら後が怖いからそろそろ戻るよ、このまま一緒にいたら少し危ないからね”
危ないってどういう意味だったんだろう・・・。
にしても会長さんの唇、柔らかかったな・・・。
「てゆうか、僕は付き合うってことに承諾したことになるのかな?」
徳田君になんて説明しよう・・・
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昨日の夜、会長さんからメールが来た。
〈明日一緒に登校したかったんだけど、生徒会の仕事で早くに行かなきゃ駄目なんだ、また今度一緒に行こう〉
会長さんからのメールも変な感じがするけど、一緒に登校ってことはやっぱり僕達は付き合ったんだなーって思う・・。
「はあ・・・」
「川島?」
「え!?あっおはよ!徳田くん!」
「おはよって・・・お前何言ってんだよ」
「え?」
「今何現目だと思ってんだ」
呆れたような顔で座っていた僕の顔を見下ろしてくる。
何現目?あ、もうお昼の時間だ・・・。
「お前なー・・・またなんか考え事してんの?前のことなら気にするなって」
「あ、いや・・そのことじゃ、なくって・・・」
言ったほうがいいのかな・・・でも言ったら言い返されるだろうな、徳田君、会長さんのこと嫌いみたいだし。
「またなんかあったのか?」
心配してくれてる徳田君に秘密事なんて駄目だよね!よし!勇気をだして言おうじゃないか!僕だって男なんだから!
あれ、もし男の人と付き合ったってしったら徳田君、引いちゃうかな・・
えっどうしよう!
「お前、百面相なんかして面白いか?」
「こ、これには深いわけがっ」
「なんだよ、なんでも言「「「きゃああああああ!!」」なに!?」
「え・・・・」
「こんにちわ、渚」
徳田君が喋っていた所に歓声が上がる、何回も言うけど、ここ男子校だから!
まあそれは置いといて教室のドアの方をみると会長さんが笑いながら手を振っていた。
「なっ!なんであいつがこの教室に!?」
「・・・会長さん・・・」
長い脚をこちらに向けて歩いてくる会長さんは僕の机の前で止まった。
「こ、こんにちわ、会長さん・・。」
「やだな、会長さんだなんて・・・。ちゃんと名前で呼んで?」
「へっ!?え、と明智、先輩?」
「下の名前」
「と、智明先輩・・・」
「まあ今はそれでいいよ。」
名前を呼ばれることがそんなに嬉しいのか、会ちょ、智明先輩はにこにこと微笑んでいる。
僕はなんだか茹蛸の気分です。
「あんた、なんでこの教室に来てんスか」
あ、徳田君怒ってる
「え?渚をお昼に誘いにきたんだ」
「今までそんなこと一度もっ・・・って渚!?」
「恋人を名前で呼ぶのに、何か理由でもある?」
ふわりと笑う智明先輩の後ろになんか黒いものが見えるけど、それはと裏腹に徳田君は今にも死にそう
・・・
教室の中もしーん、としたのもつかの間で耳を塞ぎたくなるような奇声?歓声?みたいのが響き渡る。
『とうとうこの学園の天使が堕ちた!』
『ふえぇ、会長様ー・・・』
『俺の川島がっ・・・』
『おい!なんでお前のなんだよ!』
『僕、お二人なら絵になるから、応援したいな!』
『いいなー』
『お前の彼氏は俺だろ?』
『もーダーリンったらヤキモチーw?』
色々な声から智明さんを好きだったんだろうな、とか思うけど、僕は誰のもでもないからね!?
てゆうか同じクラスだったんだ、バカップル・・・
「川島と、あんたが・・・恋人・・・?」
「そ、昨日晴れて恋人同士になったんだよ、ね!渚」
「へっ!?あ、はい・・・」
やっぱり恋人同士でいいんだ・・・
「どういうことだ!川島!」
「い、言おうとはしたんだけど、勇気がなくって・・・」
「お前っこんな奴でいいのかよ!?」
「こ、こんな奴って、智明先輩はいい人だよ?」
「お前はこいつの本性をしらな「はいストップ、徳田君?僕達今からお昼ご飯に行くからまた後にしてくれる?」
「っ・・・」
「さあ行こうか渚」
「あ・・・」
僕の手を優しく握って食堂に向かおうとする智明先輩、徳田君を見ると俯いたまま動こうとしなかった。
「渚は手も小さいね」
智明先輩はクスリと笑いながら僕達は教室を後にした。
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