6。
寮に戻ってきた僕が一番先にしたこと。
とりあえず反省。
「会長さんもそうだけど、徳田君まで疑うなんて、僕どうかしちゃったのかな・・・。」
姫、なんて言われることだって会長さんだけに言われた事じゃないし、身近にいるのだって徳田君だけじゃない。
なんで頭の中にあの二人が出てきたんだろう・・・。
ピンポーン
「え、誰?」
ベッドに座って手紙を読み返していると部屋のチャイムが鳴った。
一人部屋の僕に同室者はいないし、必然的に僕に用事がある人がチャイムを鳴らしたことになる。
徳田君は今部活だし、この時間に僕を訪ねる人はそんないないはずなんだけどな・・・。
チェーンを閉めながらそろりとドアを開け隙間から確認する。
「やあ」
「!!か、会長さん!?」
隙間からひょこりと顔だしたのは会長さんだった。
「ちょ、ちょっと待ってくださいね、すぐにはずすので。」
「うん、そんな焦らなくてもいいんだけどね」
会長さんの苦笑眺めながら一旦ドアをしめてチェーンをはずす。
なんで会長さんが僕なんかの部屋に?
「え、えとお待たせしました。会長さん・・・何しにここへ?」
「ああ、この間食堂で誘ってくれただろう?断っちゃったからさ、そのお詫びにと思って。」
「そんなっわざわざ?あっよかったら中入りますか?」
「いいの?同室の・・・ああ、川島君は一人部屋だったね。」
「はい・・・」
「じゃあお邪魔しようかな」
にこりと嬉しそうに笑ってくれる会長さんに僕はさっきからドキドキしっぱなしで、こんな調子で一緒に部屋にいれるのかな・・・。
部屋散らかってなくってよかった!
「あの、紅茶とかお茶とかコーヒーとか、ありますけど何がいいですか?」
「んー、じゃあ紅茶をもらおうかな。川島君コーヒーとか飲むんだ?」
「あ、僕じゃなくって徳田君がたまにくるので」
「ふーん・・・」
会長は紅茶がすきなのかな?
あれ?なんで会長不機嫌になってるの?
み、眉間のしわが・・・。
「はい、会長さん」
「ありがとう」
「あの、ほんとにその、謝りにだけきたんですか?」
「川島君ってさ、一目惚れって信じる?」
「え!?」
ソファに向かい合わせで座って紅茶を飲んでいた会長がいきなり変なことをいいだした。
「一目惚れ・・・ですか?」
「そう、一目惚れ」
会長さんが、誰かに一目惚れでもしたのかな・・・。
だとしたら親衛隊の人たちとか黙ってないだろうな、にしても会長さんに想われる人は毎日ドキドキしっぱなしだと思う・・・。
「一目惚れは、僕は信じるほうですけど・・・」
「そっか!じゃあ改めて」
コホンッと咳払いを一回した会長さんが自分の膝に置いていた僕の手をとって真剣な目でこっちを見つめている。
「貴方に一目惚れをしました。僕とお付き合いをしていただけませんか?」
夕日がカーテンから入り込んでオレンジ色が僕達を包んで、整った顔が僕を見ている。
少し、神秘的な一場面。
僕は絶叫をあげた。
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