僕と彼女の短い時間(短編) ごぺーじ 「両親……自殺したのか?」 ぐずっと鼻をすする音が聞こえる。 そんな雪ちゃんを可愛く思ってしまう。 「私の両親ね、会社…自営業やってたの、で潰れた…それで、うっ」 大体予想はできる。 「もう喋らなくていい」 おそらくそれで親戚に引き取られてこっちへ来たのだろう。 そんな時期に軽はずみに話し掛けるなんて俺は馬鹿だ。 「なぁこのまま学校抜け出さないか?」 俺が慰められるのはあの場所しかなかった。 あの場所なら彼女を元気付けられる気がした。 幸いに春の暖かい陽気だし今日。 雪ちゃんは驚いた顔をした。そして「うん」と頷く。 彼女はもともと素直な子らしい。 学校を抜け出した後、俺達はある山を登っていた。 「ね〜いつ着くの?」 どうやら雪ちゃんも大分落ち着いてきたようだ。 「まぁ待ってろもうすぐだから」 そう、もうすぐで俺しか知らないとっておきの場所に着く。 [*前へ][次へ#] |