僕と彼女の短い時間(短編)
ろくぺーじ
少し歩くと山の整備された道のはじに小道を見つけた。
「この小道に入って」 俺は雪ちゃんを案内する。
「うわ、すごい草とか生えてるんだけど」
やっぱり辛口な口調。 「いいから、いいから」
俺は雪ちゃんの手を握り連れて行った。
そして歩くこと一分……。
そこには野原があった。スズラン、ボタン、エーデルワイス、サクラ草などきれいに咲いている。
「………すごい」
「だろ、作るの苦労したんだぜ」
本当は一人で楽しむはずだったのだ。
俺はここで秋からずっと土を耕したり、肥料まいたりとしてきた。
それがこうやって実を結んだ。いや〜苦労のかいがあった。
「そろそろ帰るか」
どうやら世間話に花を添えすぎたらしい。
今はもう2時頃だ。
「あり…がとう」
雪ちゃんは照れながら改めたようにそう言って顔を真っ赤にしていた。
「こっちこそ悪かった。許してくれ」
それで会話がプツンと切れた。本当に学校へ帰るまでなんも話していない。
あとは帰って説教、それだけだ。
こういうの青春っぽいな。
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