記念小説・捧げ物
ひなたぼっこ。


【ひなたぼっこ。】

「ナーツー?」

ふと気付けばギルドから姿を消していた桜髪の相棒。

何処に行ったのか?
なんて、疑問すら浮かぶ前に…
通い慣れた運河沿いの、アパートの2階の部屋を訪れた。

「あれ?ルーシィもいないやぁ…。」

机には、書きかけの小説…。

「ふたりで、何処に行ったんだろぅ…。」

ふたりの行きそうな場所を、いくつか思い浮かべる。
と、窓から差し込む暖かな日差しに目を細め…
思いついた様に、翼を広げ飛び立った。

湖畔を眺める大きな桜の木の下。
静かで読書をするには絶好の場所だと、
少女が嬉しそうに語っていたのを思い出す。

木陰で読書に夢中になる少女の横で、
つまらなそうに口を尖らせる相棒を思い浮かべ、
ハッピーは、プクク。と笑みを漏らした。

目的地に着くと、案の定探していた二人が木陰にいた。

ただ少しばかり、予想が外れてしまったが…。

大切な物を守るように、そっと置かれた逞しい腕。
その腕に安心するように、無防備に寄り添う華奢な身体。
幸せそうな顔をして、仲良く眠る姿が微笑ましい。

さっさとくっ付いてしまえばいいものを。

このふたりが、恋愛感情で好き合っているのは、
火を見るよりも明らかだ。

ほんの少しだけ、ナツが勇気を出せば…
ほんの少しだけ、ルーシィが素直になれば…

そうすれば、きっと簡単にふたりは恋人になれるだろう。

そうなったら、
ふたりと一緒にいる自分は邪魔になるのだろうか…

いや…そうなっても、
ふたりはそんな事は言わないだろう…

ウブで素直になれないふたりだが、
きっと、近い将来にそんな日が来るはずだ。

そうなったら、やはり…。

「オイラは…空気の読める…猫ですから…。」

大丈夫。その時はちゃんと…。

だから、それまでは…
こうしてふたりと一緒にいてもいいよね?

ふわりと、ふたりの近くへと舞い降りた。

だから、それまでは…
いつも通りにしててもいいよね?

「どぇきてぇる。」

クフフ。と前足を口元に当て決まり文句を呟くと、
ふたりの間でクルリと丸くなって、
後を追うように、青猫も夢の中へと旅立った。

〈END〉

【御礼】
20000hit記念小説&イラストです。

いつも、閲覧してくださる皆様に感謝を込めて…。
こちらは、DFとさせていただきます。
お気に召していただける方がいらっしゃれば…。
ご自由にお持ち帰りくださいませ。

ご報告は特には不要ですが、教えていただけたら、泣いて喜びます。

今回は、ハッピー視点の小説にしてみました。

相棒だから、ナツの行動パターンは手に取るようにわかるのは勿論。
いつも一緒にいるから、ルーシィの行動パターンも把握しちゃってるハッピー。

んで、空気の読める猫ちゃんだから、ふたりの邪魔になるんじゃないか…って思っちゃうんやろうな…と。

でも、ナツもルーシィも全然そんな事思ってないんだけどね。
だって、ハッピーが居てこその、ナツとルーシィだからね。

でもでも、きっとハッピーは、
ふたりの邪魔になるから。オイラはシャルルのところに行ってるから、気にしないでぇ〜。
ってのを、口実に…シャルルのところに通い詰めるんやろうなー。と思ったり。

てかこれ…ナツルーになって…る…よね?
あれ?どうなんだろう…。
いや、これはナツルーです!!
ナツルーなんです。←もう、言ったもん勝ち。


ここまで、お読み頂きありがとうございました。((o(・ω・)人(・ω・)o))


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あきゅろす。
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