記念小説・捧げ物
O Jesulein süß, O Jesulein mild!(6)
「んな…何すん…のよ。」
「何って…。ルーシィがプレゼントなんだろ?」
「はぁ?違うわよ!」

フウフウと威嚇するように
震えながら涙目で睨み付けてくる琥珀色の瞳は、
今のナツにとってその欲情を煽る以外の何物でもなかったのだが、
身体を隠すように、ルーシィはシーツを引っ張り上げた。
そんな様子に、ムッとしたナツは口を尖らせながら反論した。

「あ?違わねぇよ。」
「何でよ!」
「言ったろ?オレはルーシィが欲しいって。」
「はぁ?いつよ!」
「いつって…お前らがしつこく聞いてきたんじゃねぇか。」
「んなっ!?あんた、だってあの時…。え?」

『…ゥ…シ…』

まさか…。
だとしても、ちゃんとナツの気持ちを聞いてはいない。

「あ?」
「だっだからってこんな…。い…いやよ!」
「何でだよ。」

ナツとなら…。ナツにならば…。
そう思っていない訳ではない。
いや、心の何処かで…ナツとそうなりたい。
と思っていたのかもしれない。

しかし、これは一方的な想いで…
また肩透かしをくらうのかもしれない。

何度となくこうして期待させるような事を言われては、
いつもいつも、ナツにからかわれていただけ…
と裏切られてきた。

でも今回ばかりは、
その『いつも』を許容する訳にはいかない。
ここで身体を許してしまっては…
ズルズルと今以上に不透明な関係になってしまう。

まして…
ナツがこんな事を誰にでもできるんだなんて…
思いたくもない。

その逆も然り…。
自分が誰にでも身体を許すような女だと、
ナツに思われたくない。

だからこそ、明確な言葉が欲しいのだ。

「何でってそりゃ…。こうゆうのって、大切な人とする事でしょ!」
「なら、いいじゃねぇか。」
「どこがよ!」
「ルーシィの事…大切だし。」

だからいいじゃねぇか。
と、当たり前の様に言い放つナツの言葉を思わず聞き逃す所だった。

「仲間としてじゃないのよ?」
「んあ?あぁ…わかってんよ。」
「え…?」
「オレ…ルーシィの事好きだし。」
「え?だから…ナツの好きは、仲間として…でしょ?」
「違げぇ。」
「え…だって…。」
「んー。アレだ。アイシテル?」
「え…。」

ボフンッと音がする位に、ルーシィの全身を熱が駆け巡った。
そんなルーシィをぎゅっと抱きしめ、ナツはもう一度耳元で囁いた。

「ルーシィ…愛してる。」
「ナ…ツ…?」

宝物に触れるようにそっと…
ナツはルーシィのおでこへと口付けを落とした。

「ルーシィは?」
「えっ?あ…たしも…ナツが好きよ。」
「好きだけかよ?」

ナツは意地悪く口元だけでニヤリと笑いながら、
ルーシィの目元へと口付けを落とした。

「だ…大好きよ!」
「それだけか?」
「もう!わかってるくせに!」

羞恥に耐えきれず真っ赤に染め上がったルーシィの頬に、
ナツは優しく口付けを落とした。

「ルーシィ…愛してるぞ。」
「うぅ…。」
「ルーシィ?」
「愛してる。…ナツを愛し…」

ポツリポツリと愛の言葉を紡ぐ唇を、熱い火竜の唇で塞いだ。
何度も何度も…。己の愛に溺れさせるように。

「ルーシィ。覚悟しとけよ。」

今宵聖なる夜に、永遠の愛を誓うが如く火竜は愛しき星へと愛を注ぎ込む。

〈END〉
ローストビーフは次の日に仲良く食べたとさ。

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あきゅろす。
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