記念小説・捧げ物
君との距離。
いつもと変わらない、いつもの帰り道。
他愛のない話をしながら運河沿いを君と並んで歩く。
出逢った頃よりも、少しだけ遠くなった君の顔。

ふたりの間を吹き抜ける風に、金糸の髪が大きく靡く。
ふと歩みを止めて…ぼんやりと考える。

君と離れた数センチ。

君の唇に触れるには、
少しだけ…背伸びをしないと届かなくなってしまったね。

君と離れた数センチ。

君の桜髪を撫でるには、
少しだけ…背伸びをしないと届かなくなってしまったね。

君と離れた数センチ。

離れた分だけ、共に歩んだ君との時間がここにある。
離れた分だけ、君への想いが大きく募る…。

夕日に照らされ赤く染まる君の背中を見つめ、
小さな声で呟いた。

「大好きよ…ナツ。」

クルリと振り向き、桜色が揺れる。
満面の笑みで両手を広げる君に向かって駆け出した。

金色の髪をたなびかせ、
ぼすんと飛び込んだ君の腕の中は暖かくて心地がいい。
ギュッと背中に回される腕の中にすっぽり収まり…目を閉じる。

間近に感じる君の鼓動。

こんなにも簡単に、
君は数センチの距離を無くしてしまうのね。

触れる吐息がくすぐったい…。
耳元でそっと囁かれた、君の声。

「オレも…。大好きだ…ルーシィ。」

ふたりの距離は0センチ。
惹かれるままに、君の唇へとキスをした。

ずっと変わらず、君と笑いあえる…
そんな幸せな日々がいつまでも続くようにと…願いを込めて。

〈END〉



背が伸びたナツの話…。違う。違くないけど…。
月日が経って、変わってしまうものがある中で、
ナツとルーシィの絆は変わらないよねってゆう話。

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あきゅろす。
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